おツボネさんの恋愛模様 (ページ40)

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第３４話ページ40

第34話満月の夜

数年ぶりの自分の部屋。

今日は久しぶりに腹を抱えて笑った気がする。

『ただいま。お兄ちゃん。』

写真に写る幼いままの兄。

すっかり年齢を超してしまった。

小さい頃、辛いことがあるとよく夢に出てきてたな。

そういえば、いつからだろう？

夢に出て来なくなったのは。

最後、何か言ってたような...

夢ってすぐ忘れちゃうよね。

どっくんの夢、何回も見ては忘れてしまって、
朝からテンションが下がったことがある。

『大阪、戻ろうかな...』

仕事のわだかまりがすっきりした。

身が軽くなった気がする。

『でもな...』

章ちゃんの顔がよぎる。
会わせる顔がない。

『なんか、喉乾いた。』

水を飲みに台所へ行くと、
ビール片手に横山主任が窓から見える月を見上げていた。

『眠れないんですか？』

横山「そっちこそ。」

『いろいろ考えちゃって。』

横山「俺も。」

『大阪、帰りたいような、帰りたくないような。』

横山「...帰ろう。また、一緒に仕事しようや。」

『でもなぁ～。』

横山「彼氏？」

『章ちゃんに嘘をつき過ぎて、罪悪感でしんどいです。』

横山「俺はどうしたらえぇ？」

？

横山「安田さんと仲直りしたいのなら、手伝ったる。でも、迷っているなら...」

.....

横山「安田さんから、Aを奪う。」

私の元へ近づくと、飲んでいたビールを口移しし、
口内に残った苦味を舌で絡めとる。

ｺﾞｸｯ

『！？しゅ、主任！？』

横山「嘘ついた。やっぱり手伝えない。A、部屋どこ？」

『...二階。』

横山「あと、今の俺は主任やない。」

『え？』

横山「名前で呼べや。」

『裕...』

横山「A、好きや。もう離さない。」