第３０話 ページ36
第30話 消えた花びら
横山side
気持ちに反して清々しい快晴の中、
初めて来るカフェ オーサリ。
小さい看板は、視力が落ちてきた俺の目には見つけるのに一苦労だった。
営業はしているらしい。
意を決して扉を開く。
店内は常連と思われる老夫婦とカウンターの店主だけ。
この人がAさんの...
安田「いらっしゃい。お好きなお席どうぞ。」
カウンターに座る。
安田「あれ...？もしかして、Aの会社の人？」
横山「え？何でわかるんですか？」
安田「バッチ。Aもジャケットに同じの付けてるから。」
あ...。
横山「申し遅れてすみません。営業部の横山です。」
安田「横山...主任？」
横山「はい。」
安田「Aからよく聞いてます。スーパーマンだって。」
横山「いやいや、そんな大それたことしてないです。」
安田「Aはいつも目を輝かせながら話してますよ。」
テーブル席にいた老夫婦が帰っていった。
安田「ところでA、最近何があったんですか？明らかに元気が無いのに、何も話してくれないんです。」
アイツ...何一つ話してないのか...
横山「少々、トラブルがありまして。」
安田「A、何したん！？」
横山「周りに翻弄されただけで、Aさんは悪くないんです。ただ、相当滅入ってしまって、リフレッシュのために有給を使ってもらうことにしたんです。」
安田「え...ボク、お父さんの体調が良くないからって聞いてて...」
横山「実はこれから、Aさんの実家に行ってみようと思ってます。」
安田「それ、ボクも行かせてください。」
横山「安田さん、必ずしも実家に行ったとは限りません。すぐ帰ってくる可能性もあるでしょうから、安田さんはここで待っててもらえませんか？それに、お身体のことAさんからお聞きしてます。この快晴で何時間も移動できますか？」
......
横山「Aさん、心配掛けたくなくて安田さんに打ち明けられなかったんじゃないでしょうか？Aさんの気持ちも汲んであげてください。」
安田「横山さんは、Aのこと何でも知っているんですね。やっぱりスーパーマンなんですね...」
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作者名：るびぃ | 作成日時：2020年11月10日 13時
