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03.最終選別 ページ3

*A



杏寿郎さんのところに来て数ヶ月。

最初は気乗りしなかったものの、続けていれば気持ちも変わるものだ。

褒められれば嬉しいし、技術も身についてきているのを感じれば少し楽しくもなる。
炎の呼吸も一通りできるようになった。

杏寿郎さんが任務でいない時は、弟の千寿郎くんが相手をしてくれた。


千「いい調子です。Aさ…」

「どうせなれやしない。無駄なことしてないでさっさと出ていけ!」

『…』


父親の槇寿郎さんは、鬼殺隊を快く思っていない様子。
「父のことは気にしないでください」と、申し訳なさそうに言う千寿郎くんに苦笑いでしか返せなかった。

継子とはいえ、居候の身なのは事実だし……

でも、昔は杏寿郎さんと同じく柱にまでなった人らしい。


『…私も、』


柱に__



それなりに過酷な訓練も終盤になり、今日は杏寿郎さんが任務から帰ってきた。


『最終選別ですか?』

煉「あぁ。今度の最終選別に参加するといい」

『…』


確か、本物の鬼が居るんだよなぁ。

でも行かないと鬼殺隊にはなれないし……
少し、不安だな…


『…』

煉「…」


それから3ヶ月後、いよいよ今日は最終選別。
杏寿郎さんも任務がなくお見送りしてくれた。


『行ってきます!』

千「必ず帰ってきてください」

『はい』

煉「A、これを着ていきなさい」


と、杏寿郎さんから渡されたそれを受け取り広げる。


『…これ』


受け取ったのは、杏寿郎さんが身につけている羽織と同じ炎の柄が着いた羽織。
裾は彼のように切れてはおらず、普通の羽織に彼と同じ炎の柄がついたものだった。


煉「お守りと思ってくれ!」

『…ありがとうございます!』


受け取った羽織を着て、いよいよ最終選別へ向かった。



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作者名:妄想たのしい | 作成日時:2023年2月27日 22時

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