7 ページ7
.
伊「 …そーゆーこと 、」
.
そう言うと その人 、…伊野尾さんは 、全てを悟ったような目で 。
私の体からぱっと手を離す 。
.
やっと見つけた 、探していた " 誰か " 。
まあ 、押し倒されるなんて想定外だけど 、これでやっとあの最低な日々とばいばいできるんだ 、
そう思ったのに 、
そんな軽蔑するように 、隅まで舐め回すように目を細めて見つめるから 。
「 やっぱり 、だめ? 」
自由になった体を起こして 制服を整えながら聞く 。
よっぽどの衝撃だったのか その人はピクリとも動かない 。
ねぇ 、って もう1回声をかけようとしたら 、
伊「 …もし 、だめって言ったらどうすんの ? 」
近いようで遠いどこか一点から視線を逸らさず呟く 。
「 そりゃ…家に帰るよ 、」
ふふ 、と 自分でもぎこちなかったなって感じるほどの僅かな笑みを零して 、
伊「 家族は 、待ってるの? 」
「 待ってないとは思うけど 、」
ぶっきらぼうに吐き捨てる 。
家族なんて幸せな呼び方 、あの人たちには相応しくない 。
.
.
家族っていうのは 、もっとこう 、温かくてきらきらしてて落ち着ける場所 。
って 、泊めてくれないならもう用はないし 、それなのに長く居座るのも悪いし 、
立ち上がって玄関に向かう 。
「 んじゃ 、お邪魔しました 、」
そうすると 、また 、手を掴まれる同じ感触 。
.
20人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:つむぎ . | 作成日時:2017年6月4日 19時