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伊「さってと… 、腹減った」
ぐぅ 、とお腹を鳴らせて伊野尾さんは言う 。
そういえば夕飯を食べていない 。
伊「 てことで 、はい 。 どうする?」
そう言うと先ほど外で持っていたスーパーの袋を どん とテーブルの上に置いて 。
「 どうする 、って…?」
伊「 ほんとはさ、早く帰ってきて久々になんか作ろーかなって思ったんだけど 。」
目を細くしてこちらを見る伊野尾さん 。
優しく垂れた目とはいっても睨まれるとそれなりの迫力がある 。
言わんとしたことは何となく分かったような 、
「 …ごめんなさい 、」
やばい 、ほんとは怒ってたのかもしれない 。
確かに私の帰りが遅かったわけだし 、
ちょこっとだけ反省の色を見せて下を向く 。
と 、
伊「 ふは 、しょげてる 、」
けらけらと笑う声 。
伊「 怒ってると思った? 残念 、俺そんな簡単に怒らないよ 」
「 な… 、」
…騙された 。
何が残念なのかは分からないけど 、こっちは本気だったのに滑稽に笑う伊野尾さんを見ていたら 少しばかり腹が立った 。
「 もう知らない 、」
ぷい とそっぽを向くと 、
伊「 ごめんごめん 。今日はカップラーメンでがまんして ?」
私の頭にぽふと手を置いて立ち上がると 、袋を2つだけ持ってキッチンへと向かっていった 。
私も残された1つの袋を掴み同じようにキッチンへ持っていく。
先にキッチンで袋を広げた伊野尾さんはカップラーメンを2つ手に持って 。
醤油味と味噌味 、しばらく見つめてから 、
伊「 どっちがい?」
なんて言う伊野尾さんの声はやっぱりとても優しくて 。
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作者名:つむぎ . | 作成日時:2017年6月4日 19時