.file1. 前世でぽっくりいっちゃった!?ver.5 ページ5
そのような人が仲介したことに驚いた朱莉と神田は、課長の名前を口をそろえて言ったのである。
「神田さんは宮橋さんに対して怒りすぎだ、彼女は仕事やってんだから見守ってあげてもいいだろう」
「し、しかし……」
「神田さん、せめて怒らないくらいのことは徹底したほうがいいだろうよ」
「わ、わかりました……課長、ありがとうございます」
(神田さんが、怒られてる……やった……今日はいいことありそ)
怒られている神田が、気まずそうに下を向きながら自分のデスクへと戻っていく様子を朱莉はしめしめというように見ていれば、「君もだよ?君もやるべきことはちゃんとやらないと業務に支障が出るよ」と弘道課長が言ったことで、気分がげんなりとしたのだ。
「す、すみません……」
「……じゃ、頑張って」
課長はそう言って自分の場所へと戻っていく。その背中を見ながら一向に休憩をする暇が訪れないことに朱莉は「最悪だ」とぼやくのだった。
「そこの資料お願いしますだの、とかなんとかはいいけど、それくらい自分でやれよ。……あ」
悪態をついてしまったことを自覚した朱莉は、思わずため息をついた。小声だったのか周りには聞こえていないことに安堵し、仕事を再開する。
不機嫌そうな上司に仕事を頼めば自分でやれといわれ、頼りない部下は頼まれた仕事をこちらの要望どおりに片づけてはくれない。だから、せめて、部下がわからない箇所があるのなら逐一当たり前のことなのだが、聞いてほしいと切実に朱莉は思う。頼りになるのは教育係と同期と先輩だけ。
しかも、ここ一か月前に任せられた事業の責任者に抜擢されたことで、夜通し残業生活なのである。だからなのか思わず、これが失敗したら怒られるのは私なんだぞ!?心の奥底で事業のメンバーを罵りながら業務をひたすら進めるべく、朱莉は必死に手を動かすことに意識を向けるのだった。
『公務員は定時で帰る、自分の時間をたっぷりとれる』
『安定しています、育休が男女ともに取得しやすい』
『ワークライフバランスがとても充実しています』
『自分の生活がしっかり保つことができますよ』
本来働く人にとって好条件だろうというイメージが世間一般にはあるが、それは夢のまた夢なのだ。なぜなら――。
午後五時を回った。役所の壁に設置してある時計が午後5時を知らせる曲が役所の中に響き渡る。
朱莉がいる部署では、ここから残業という地獄が始まる。勿論私も例外ではなく残業に駆り出されていた。
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らいむ - すごく臨場感があって最初の方は本当に作者様死にかけてるのかと思っちゃいましたw面白かったです (5月6日 17時) (レス) @page10 id: 9b7e45a499 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーー | 作成日時:2022年5月16日 18時