file3.邂逅とコナンくん。ver.1 ページ34
だれだれだれだれだれだれだれ!? と思う、Aの頭の中が、パンクするかのようだった。それもそのはず。なぜなら閉店間際に現れたその女性は、Aを過去である前世の名――「宮橋 朱莉」という名を目玉が飛び出しそうなほど驚いて言ったのだから。
「
かつての自分の名を口にしたことに対する、Aの頭のなかで起こる混乱。
ますます収拾がつかなくなっていくなかで、根拠が何一つ不明な子の状況にかかわらず、目の前の客はそう言うものだから、思わず「……何を、言っておられるの……ですか?? 」と口に出さずを得ない。
相手の女の人は困ったような表情をしながら、「え、あ、すみません」困惑しながらペコペコと謝っている目の前の客を見て、いやほんとに誰!?なんで前世の名前である朱莉を知ってるわけ!? と疑問に感じた。
その思考はとどまることを知らず、思わず無意識に目の前の女性の柔らかな瞳を、じっと見つめた。
相手もAの視線に気がついたのか、御子の目をそらすことなく見つめながら、自分には前世に心当たりのある親友がいたんだと考え込んだ。
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彼女は、変わり者だった。小学校から高校までずっと一緒にいた一人の親友。中学生のとき、授業中の教室に入って来た虫を素手で捕まえれば、必ず自分に見せてくることもあったくらいだった。
「みてっ!! 」
ある時、休み時間に窓から手を出している実桜の様子を「何をしているのか」と他人事のように見ていると「みてっ!! 」と声をかけられたから「なに?? 」と言ってうざったいなと、感じながら彼女の手を見ると、掌にあるのは、御子が大の苦手な『虫』のうにょうにょと動いている様がそこにあった。
「みてー、カブトムシっ」
「えっ……」
手で動いているそれに、御子は拒否反応を示す。いくらカブトムシでも苦手なものは苦手なのだ、許してくれと、願いたいくらいだった。
「捕まえたんだよー、見てよー」
「いっ、やだなあ、き、気持ち悪い」
手眼中に入れたくないくらいの嫌悪感を感じ、そっと後ずさりをするように離れたら、実桜も逃すまいと追いかけてきたこともあったくらいだ。そんなこともあったなあ、とAはしんみりと振り返る。
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らいむ - すごく臨場感があって最初の方は本当に作者様死にかけてるのかと思っちゃいましたw面白かったです (5月6日 17時) (レス) @page10 id: 9b7e45a499 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーー | 作成日時:2022年5月16日 18時