file1. 前世でぽっくりいっちゃった!?ver.4 ページ4
(こ、こわ……)
風貌に恐怖を感じながら、神田を自分のデスクへと案内するべく、「デスクはこちらになります」と言って歩き出したとたん、「その顧客の情報は? 」神田は聞いてきた。
「ええと、50代の女性で20歳の娘さんがいるそうで」
「なるほどね」
朱莉の案内で、デスクに着いた神田は、「じゃあ、代わるから」といい、目の前のデスクに置いてある受話器を手に取り、保留を解除した。
「お電話代わりました、神田です。大変お待たせして申し訳ありません――」
今日も大忙し。書類作成、電話の応対、学生の団体でのインターンシップの対応や、会議、外部での調査など、電話の音が鳴り止まない。
「はい、はい、ではお電話番号を教えていただきたいです、はい」
声の抑揚に変化をつけつつ、トーンは先ほどの朱莉と話した声よりも高いことに朱莉は気が付いた。彼女のデスクの椅子に座って、パソコンに情報を打ち込みながら、電話応対をしている神田を一回見たあとパソコンに向かって作業を再開した朱莉は、神田さんはすげえなと思ってしまっていた。
「ええ、ええ、他になにかあればお聞きください」
『助かったわ、ありがとうね』
「いえ、では、失礼いたします」
ガチャという音をたてて受話器を置くと、颯爽と椅子から立ち上がり自らのデスクへと踵を返す。
戻っていく神田の姿を目で追っていた朱莉だが、お礼を言わなければいけないとハッとして、彼女の元へと歩いて、近づいて肩をたたけば、相手は「なんでしょうか」と言って振り向いた。相手が朱莉だとわかるととたんに眉をつり上げた。
(うわあ、ぜっったいこの人、私のこと嫌いだよね)
「……何か」
不機嫌な様子でそう言い放つ神田を見ながら帰りたいと思いつつも、朱莉は先ほどのお礼をしなければいけないと思い直して、「先ほどはありがとうございました」と言った。
「そのようなこと、仕事では茶飯事です、いちいちそのようなことでお礼などいりません、さっさと仕事を再開しなさい」
人を何様だと思っているのかと腹が立ったが、そんな表情を表には出さず、「え、……あ、わ、わかりました」と言えば、「ちょ、ちょちょっと……そんな言い方はよくないんじゃあないかい?? 」と誰かが口をはさんできたのだった。
「
その人は神田の属するグループのリーダーでありながら神田の上司にもあたる人物で、神田とは比べ物にならないほど、優しく、親切な男性。
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らいむ - すごく臨場感があって最初の方は本当に作者様死にかけてるのかと思っちゃいましたw面白かったです (5月6日 17時) (レス) @page10 id: 9b7e45a499 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みーー | 作成日時:2022年5月16日 18時