【名探偵コナン】交通事故で死んだらあの世界に転生して立派な大学生！？ (ページ19)

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file2.数年がたち学生となった彼女の挑戦 ver.3 ページ19

「行ってきます――姉ちゃん」
彼らの仲をそっと応援しながらも、この日で新一自身と生活できる最後の日という寂しさを痛感し、彼らに「いってらっしゃい」と告げれば、ドアがばたりと閉まり、静寂があたりを包んだ。

「さて、次は私の番だな」
そんな中でAは静かに言った。

(原作通りに、ことを進めないと)

朝食を食べ終え、茶碗洗いなどのありきたりなものの片付けを、きっちりと終わらせたAは、休憩をしようと時計を見れば、時間は７時をまわっていた。面接の時間は９時なのだから、まだまだ２時間以上もあることがわかると、数分前までいた洗い場からリビングまで移動する。どっと緊張を感じたAはソファーに腰を下ろした。

「……緊張するなあ」
AAとしてこの世界に生を享受してからというもの、原作が始まるまで楽観的に生きてきたつもりではあったが、やはりアルバイトの面接は慣れることはなくあるのは緊張。
(いよいよ、今日、か……、ははっ、こうなるってわかってんのに、わかってるっておもってんのに、なんだろう、すごく、怖い、よね)

露しようのない圧迫感と不安を感じ、衝動に駆られたAは、苦痛を紛らわすように自分を抱き締めた。現実逃避するのはよくないとは思っているが、緊張と未来への不安に足がすくんでしまい、ソファから立ち上がって動き出すまでに数分かかった。
(頑張らないと……。せっかくの機会を無駄にするわけにはいかない……)

今の服装は紺色の襟元V字ベスト、中は白いブラウス、下は普通のジーパン。着替えているからあとは、歯磨きとメイク、髪を整えるだけだと思い、洗面所に立った。
簡単に歯を磨き入念にメイクアップ。メイクは女の命だ。なぜならメイクだけでその人の印象がグッと変わるからだ。化粧水、乳液などを順番に塗っていき、当たり障りのない仕上がりにする。
「これで、なにも恥ずかしくない、見映えがいい。これで行こう」
(うん、我ながら良い感じ)

鏡の前で自分の顔を見るのは嫌悪感を感じるが、この後の面接の予行練習を兼ねて、太陽のような笑顔を浮かべると、髪をハーフアップで結び、少し整える。あとは、昨日買ってきた可愛い雪の結晶型イヤリングをするだけだ。
そして、面接する職場がイヤリングなどのアクセサリー着用可能なのかを確認するため、家の中にある掲示板に止めてある紙をみる。