【名探偵コナン】交通事故で死んだらあの世界に転生して立派な大学生！？ (ページ11)

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file1. 前世でぽっくりいっちゃった！？ver.11 ページ11

右を見ると、二人の女性。一人はつやつやとは言い難い黒髪だが、衣服の数か所に血がにじみ、体はものすごく痩せ細っているものの、容姿が美しく顔立ちが整っている。もう一人は有希子という女性。栗色でありながら、つやつやとしていそうな髪で、スタイルも美しいのだから、朱莉はさすが有名女優だなと思った。

「この子よ……。この子を引き取ってほしいの」言いながらベビーベットで横になっている朱莉を抱えて、有希子を見ているひとりの女性。
「……あらまあ、かわいいわね、この子、あなたの子供？？」

黒髪の女性の美しい見た目にも思わず朱莉は見惚れるも、話を推測すればどうやらこの女性が、自分の第二の人生の生みの親のようだ。有希子が朱莉の頬をぷにぷにと触っている。

「うん、そうなんだよ」
事情があって、と告げる母らしき人。痣や傷がついている肌を間近で見ても傷は目立っているのだから、痛々しくて見たくないと朱莉は切実に思った。

「事情はわかったわ。この子は私たちが育てるから……」

この家に入る前からずっとこの話を有希子さんにしていたのだろうと朱莉は思い、小さな自分の体を抱き上げている黒髪の女性のほうをそっと見ると、安堵のような表情を浮かべていた。

「……ごめん、ありがとう」

有希子が、朱莉に向かって軽やかな声色で「よろしくね」と言ったので「こちらこそ」という意味を込めて「うー」と返しにこりと笑えば落ちるかのように眠った。

「あらあら……。寝ちゃったの……」
すやすやと吐息を経て眠る朱莉を、有希子はゆっくりと柔らかいベビーベットへとおろし、トントンとお腹を軽く叩けば朱莉は「うー」と寝言を言う。

「あの人を、呼びましょ、優作を！！」

キラキラとした笑みをしながら有希子は、夫の優作を呼びに外へと出掛けたのである。

「は？？」

目を開け、その場に取り残された朱莉はこの状況を飲み込むことができずにいた。

(どうやら私は、工藤家の親戚、ではなく養子になるみたいです。今の時間たぶん、新一君と蘭ちゃんが生まれる前だよね、たぶん)
「うん、寝よう……」
これは夢だと思った朱莉は、寝るということを思い付き、そのままの体制で眠りについたのだった。