MSM Ⅰ (ページ11)

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「お前らー、どー思う？」

　あの後、とりあえず何か分かったら連絡という条件で目黒とは一度解散した。彼がいてはこちらは個々の異能力についてなどの細かい話はできないし、彼もどうやら予定が入っているらしかった。
　客人がいなくなり(一応向井は客人ではあるのだが)、深澤はサングラスを外しテーブルへ顎を乗せるようにダラけた体勢でそう問いかけた。

「隠蔽に一票ー！」

　そう言って一番に右手を上げたのは佐久間だ。こういう時に一番乗りをしてくれるのはだいたい彼なので、深澤はかなり助かっている。

「誰かが異能力者を隠蔽してる、ってこと？」
「そそ！異能力者本人がっていうのも含めね」

　ふむ。深澤は短く呟き考える。まぁ考えられる可能性としては一番高いのは間違いない。

「他の異能力に一票」

　そう言って顔の横に右手を上げたのは渡辺だ。

「例えば？」
「可能性としては瞬間移動系とか、炎の形状変化、とか？」
「なるほど？ロジカルだね」

　佐久間のリアクションはスルーして深澤は再び、ふむ、とだけ返事をして考え込む。異能力というものの奥深さを知っている面々としては、渡辺の意見を一蹴できるはずもなかった。それほど異能力というやつは知られていないだけで“なんでもあり”の世界なのだ。

「こーじは？」
「へぇッ！？俺？」
「なんでもいいよ、意見ちょうだい」

　自分は部外者だから、と口を挟まないようにしていたのであろう向井は、深澤にそう言われるとグッと目を閉じて考え込む。
　ややあって、関係無いかもしれないんやけど、と前置いた後にこう続けた。

「なんか、気のせいかもやけど、犯人は一人とちゃうんじゃないかなって思う」
「ほぉ。それは何で？」

　深澤から否定することなく、むしろ興味深そうに優しく問いかけられ、向井は自分の頭の中に浮かんでいたぼんやりとした考えを話しながらまとめていく。

「なんや、めめの話聞いとったらちょっと変やなって。救助したら違うとこ火ぃついて、そんでまた次もーて。狙いは分からんけど、なんや異能力者が一人でやってるにしては計画的な気がしてん」
「確かにね。もしかしたら火災自体が何かから目を逸らそうとしての誘導の可能性もある、か。……あー！こんな時あべちゃんがいればなぁー！」

　頼りになるMSMの頭脳は残念ながら今回は別件で外している。
　深澤は三人の意見を聞いて更に頭を抱えて机に突っ伏した。