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「ただいま」
家のドアを開けても、返事は帰って来ない。二階からは、親の叫び声が聞こえる。
「貴方のせいよ!!早く出ていってよ!!」
「うるせーな!とっとと金出せよ!」
これはまたすぐ転校だな。
俺は冷蔵庫から水を取り出しながら確信した。俺達が転校しているのは、母が別れた父親が家に押し掛けてくるからだ。
父親は俺を嫌っている。俺も父親が嫌いだ。
金巻き上げて飲んだくれるだけの人間のゴミ。
母は毎日父親にビクビクしているし、そのお陰でろくに母の飯が食えないし。
学ランのまま、ソファーに座って居ると、父親が出ていく音がして、母がリビングに戻ってきた。
「……あ、帰ってたの」
「おう」
「ごめんね…本当にごめんね」
そう何度も繰り返し、泣き崩れた母の頬には、アザがあった。今考えると、父親は俺が嫌いだから母にちょっかいを出しているのかもしれない。
「……大丈夫だよ、ほら泣くなよ」
笑顔で母の背中をさする。
こんな生活。
こんな人生。
もう、何もかもがどうでも良いんだ。
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焼き鮭(プロフ) - 凄く面白いです!更新頑張ってください! (2022年9月29日 20時) (レス) @page5 id: 64769613b0 (このIDを非表示/違反報告)
佐々木 貴 - 名無しという名の名無しさん» わぁあありがとうございます!励みになります…! (2016年11月13日 21時) (レス) id: 1f97a4328a (このIDを非表示/違反報告)
名無しという名の名無し - お、これは良い男主小説の予感…! (2016年11月13日 12時) (レス) id: 3773ac08fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:佐々木 貴 | 作成日時:2016年11月12日 14時