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「ほら、佐久間。早く食べないと死んでしまうよ」
銀次郎の言う通りで、未だに佐久間さまの体からは容赦なく血がドクドクと流れ出ている。
たぶんいくら鬼でも、このままでは不味いことくらい私にだってわかる。
「…………」
喋るのすら辛いのか、ただ空を見上げ荒く呼吸を繰り返すだけ。
「佐久間さまっ」
「おめえが喰わねえなら、俺たちに寄越せ！」
周りを鬼達に囲まれてギャーギャーと煩い。
あんた達に食べられるくらいなら、私は自ら望んで佐久間さまにこの身を捧げるわ！
「……あーっ！ もう限界だっ、こんなご馳走が目の前に居るってのにこっちはずっとお預けくらってんだぞ！」
そう一人の鬼が叫ぶと後から後から、そうだと野次が飛び鬼がこちら目掛けて走ってくるのがわかった。
だから、
お願いだから、
私と佐久間さまの邪魔をしないで。
私が襲われれば佐久間さまは助からないだろう。
そう思うと体の奥底でフツフツと何か得体の知れないものが湧いて、ぐわっと溢れる感覚がした。
「なっ！？」
鬼達が一瞬にして固まった。
そして、末端部から徐々に石化し始める。
「なんやこれ。どないなってんねん」
「……たぶんこれが桃姫の本当の力なんだよ」
私の本当の力？
いったい私は何をしたの？
「め……もも、ひ、め……」
「はっ、佐久間さま？」
否、今はどうでもいい！
どうやって佐久間さまを助けるかが先決だ。
「佐久間さま、どうしたらいいですか？ 血？ 血があれば…」
血ぐらいで回復できるの？
腕も足もないのに？
「く、ちづけ…て、」
弱々しく口付け……キスをしてと潤んだ瞳が見上げてくる。
躊躇うわけがなく、私は周りの視線なんて気にせず佐久間さまの唇に自分の唇を押し当てた。
……お願いっ、生きて！
「光ってる…」
「ほんまや。うっすらやけど淡い桃色……」
「なんかすごく暖かいね」
そんな声と共に私と佐久間さまは、ほぼ同時に意識を手放した。
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Harumi(プロフ) - Twitterにて、フォロ申請させていただきました。承認して頂けると嬉しいです。 (2023年2月3日 12時) (
レス) @page47 id: b212bc44a9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あやかぽん。さん» あやかぽん。さま！ ありがとうございます(^^)ファンタジーの世界へようこそ！って大したものは書けてませんが。続編も公開してますので良かったら読んでやってください(^^) (2020年12月5日 21時) (レス) id: 86c2a4761a (このIDを非表示/違反報告)
あやかぽん。(プロフ) - 完結おめでとうございます！！新しい世界に連れて行ってもらった気持ちです(笑)とても素敵なお話しでした。もっかい最初から読もうっと(´∀`) (2020年12月5日 20時) (レス) id: b8552d059d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ゆきさん» ゆきさま、ありがとうございます(^^)わーい！銀にぃに触れてもらえて「おお！」となりました（笑）不器用な彼がある意味、このお話を引き立ててくれたのでコメントに書いてくださり嬉しいです！続編も楽しんでもらえるように頑張ります！ (2020年11月30日 9時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - acoさん» acoさま、ありがとうございます(^^)鬼退治終わってしまいましたが、続編ではまた彼ら暴れる予定ですので読んでもらえると嬉しいです！ほんとその通りですよね、佐久間くんは愛させるべき人なんですよ(o^^o) (2020年11月30日 9時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2020年11月11日 12時
