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青い瞳がぐわんぐわんと揺れてるように見える。
ああ、私の目が回ってるんだ。
「知らなっ…」
「お前の肉をアイツに喰わせるためだよ」
「え、私の…」
「ふふ、お前はとても美味しそうな匂いをしてるからね。半端者の佐久間や精神的に強い俺なら我慢できるけど、危機的状況になれば我慢できるかな?」
どう思う?だって。
知るか、そんなこと。
「だからね、お前には餌になってもらうよ。ほらお眠り」
ニヤリと笑った唇が、私の唇に触れた時ぐらりと視界が揺らぎ私はまた意識を手放した。
佐久間さま、どうか無事でいて。
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ん……なんか、声がする。
もしかしてまた夢の中?
いやでも今度は体の感覚もあるし、なんか久しぶりな感じもする。
「……から…んで…ドーン…やろ!」
「わか…んなもん!」
「あー…も…うるさーいっ!」
パチ!
開けた視界の先に、私の縄を解こうしてるらうるが見えた。
ばっちり視線が合うと、にぱっと可愛い笑顔が飛び込んでくる。
「わー!Aさまっ、生きてて良かった!!」
「あ、気が付いた?」
「感動の再会してるとこ悪いけど、さっさと縄解いて自分で立てるか?」
らうる…亮平さん…康二さん……
皆無事で居てくれた。
「ああもう泣かないでよぉ! どうしよっ、ぽろぽろ止まんなーいっ!」
自分でも無意識なの。
嬉しくて嬉しくて、涙が溢れたみたい。
「桃姫ちゃん、なあんで泣いてんのかにゃ?」
らうるの横から私を覗き込んできたのは、会いたくて会いたくて仕方なかったお方。
ふわふわの髪が私の頬を掠めるくらいの距離で、にっと笑ってる。
「さくま、さま……」
「にひひ、なあに?」
「ううっ、会いたかったっ」
「……そっか。そっかそっかぁ!ほらもう泣かないで、佐久間が助けに来たよ 」
ひんやりとした両手に頬を包まれ、鼻先が触れ合う。
ああ、口付けられる。
と期待して、溢れる涙もろとも瞼を下ろしたけどそれは叶わなかった。
「うわっ! あかんっ、こんなに大勢の鬼相手にしてたらこっちの身がもたんわ!」
「全員下がって!」
慌てる康二さんの声と、叫ぶような亮平さんの指示に従えば途端に辺りは煙幕に包まれて視界が完全に灰色に染まった。
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Harumi(プロフ) - Twitterにて、フォロ申請させていただきました。承認して頂けると嬉しいです。 (2023年2月3日 12時) (レス) @page47 id: b212bc44a9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あやかぽん。さん» あやかぽん。さま! ありがとうございます(^^)ファンタジーの世界へようこそ!って大したものは書けてませんが。続編も公開してますので良かったら読んでやってください(^^) (2020年12月5日 21時) (レス) id: 86c2a4761a (このIDを非表示/違反報告)
あやかぽん。(プロフ) - 完結おめでとうございます!!新しい世界に連れて行ってもらった気持ちです(笑)とても素敵なお話しでした。もっかい最初から読もうっと(´∀`) (2020年12月5日 20時) (レス) id: b8552d059d (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - ゆきさん» ゆきさま、ありがとうございます(^^)わーい!銀にぃに触れてもらえて「おお!」となりました(笑)不器用な彼がある意味、このお話を引き立ててくれたのでコメントに書いてくださり嬉しいです!続編も楽しんでもらえるように頑張ります! (2020年11月30日 9時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - acoさん» acoさま、ありがとうございます(^^)鬼退治終わってしまいましたが、続編ではまた彼ら暴れる予定ですので読んでもらえると嬉しいです!ほんとその通りですよね、佐久間くんは愛させるべき人なんですよ(o^^o) (2020年11月30日 9時) (レス) id: 83fde2196b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆきんこ | 作成日時:2020年11月11日 12時