守りたい【煉獄杏寿郎】

二十八頁 ページ30

私は弱かった。
いつも守られる側にいる立場の存在で、
どんなに強くなろうと努力をしても柱にはなれず、


両手からは命が何度も転げ落ちた。


どれだけ稽古で褒められても、実際に戦うと死を実感する。

一瞬の迷いが命取りとなるのに、恐怖で脚がすくみ動きが鈍くなる。


死ぬのが怖かった。

何度も心の中で、守ると呟き自分を奮い立たせても、実際に私が守るから大丈夫だよと声に出してみても、やっぱり死ぬのは怖かった。



いつもギリギリだった。
守れなかった命も多くあり、責められて石を投げられたり殴られたりすることもあった。




「弱き人を助けることは強く生まれた者の責務だ」と、貴方は私を通して何方かをご覧になりながら
良くそのようにおっしゃいましたね。



では、強く生まれる事が許されず、
ただ守られる我が身を捨て去りてしまいたいと思う者はどのようにすれば良いのか。


ずっと悩んできました。



父上、母上、兄上、兄様…どうかお願い致します。
力をお貸しください。
私に勇気を与えて下さい。


私はどうなっても構いません。



やっと、私が役に立てる時が来たのです。





________何のために私は生まれたのか。


　
嗚呼、私はこの為に生まれてきたのですね。




「杏寿郎さん」




恐怖よりも先に、守るという意志が先行した瞬間だった。

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