守りたい【煉獄杏寿郎】

二十六頁 ページ28

「愛の呼吸 捌ノ型・愛逢月」

全速力で走りながら煉獄さんの前に立つ。
一瞬、煉獄さんの驚いた様な顔が見えた。

「この女…！！」

大丈夫、止められた、刀も折れてない。
煉獄さんも切り傷で血が出ているだけ。
　




怖い、怖いよ…逃げ出したい、でも逃げ出したくない。


「命令を破ってごめんなさい、炭治郎君を守るのは伊之助君に任せました」


大丈夫よ、大丈夫。
きっと守れる。お願いよ、私。頼むから。


「ふっ、塵が出て来ても変わりはしない」


「…そうかもしれませんね」


「退け、女、お前は俺と戦うに値しない。お前の目には恐怖が浮かんでいる」


ピリッとした殺気を間近に受けながらも、
手を刀にかけていつでも型が出せるようにする。


……怖いに決まっているでしょう。



「…愛月、援護を頼む」



「…！はい！！」


真剣な表情で鬼を見る煉獄さんは、普段と違う空気を纏っていた。
それでも、私に笑い掛けるいつもの笑顔はとても安心させられる。


先ほどの戦いを見て目が慣れたからか、攻撃が分かる。油断すれば私の命はないだろうという事も。




でも、ギリギリではあるが戦えている。




煉獄さんとの稽古のお陰かもしれない。


鬼の動きが目で追えて、避けることも何とか出来る。
煉獄さんの動きを見ながら援護ができる。




私にも守れるはず。

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