距離 ページ29
.
「終わったーーー！！！」
試験範囲内を一通り終わらせた上鳴くんはガッツポーズをして喜んでいる。無邪気で子供みたいだなぁ。
さて、と帰る準備しなきゃ。上鳴くんも帰る準備をしてるんだし。
よし！入れ忘れは無い！
「ありがとな、Aちゃん。お詫びに駅まで送ってくよ」
準備が出来た上鳴くんは私の方を見て言う。嬉しいけど、私、1人で帰れるよ？
『や、あの、1人で帰れますよ』
「いーのいーの」
『上鳴くんの迷惑になっちゃうんじゃ......』
「なんないよ。それに俺の勉強に遅くまで付き合ってもらったんだしさ。せめて駅まででも、な？」
少し寂しそうに笑う上鳴くん。
そんな顔されたら私はもう断れない。だって上鳴くんはいつも笑っていてほしいから。
『じゃあ、駅までお願いしますね』
上鳴くんはぱあっと笑顔になる。やっぱりこっちのほうが似合うよ。
「んじゃ、行こーぜ！」
水族館に行った時と違って手は握られてない。まあ、学校だしね。って1人で勝手に納得する。
図書室を出るとテスト前だからなのか生徒は1人も居ない。
「俺、カギ返しに行ってくるからさ、玄関で待ってて」
『あっ、はい』
図書室のカギを返しに職員室に行っちゃった......。申し訳ないや。
さっきまで上鳴くんと一緒だったから気付かなかったけど、なんか気味悪いなあ。薄暗いからかな？
ふと肩に何かが触れた気がする。
『うっ、あ“ぁあっ！？』
驚きのあまり思わずその場にしゃがみ込む。
なに！？なんなの！？犯人がもし、鋭児郎だったら薔薇のツルで拘束してやる！！
後ろを確認すると上鳴くんが笑いをこらえていた。
「ふっ、ブフォッ！......さっきの声www」
女の子らしい悲鳴ではなく、オッサンみたいな野太い声を上げてしまった私は1回死んだらいいと思う......。よりにもよって上鳴くんに聞かれるなんて......。
『〜〜〜っっ！！さっきのは忘れて！あれはたまたまなの！！』
私は上鳴くんと向き合って反論をする。
「へぇ〜、たまたま出たのがああいう声ね〜」
ニヤニヤしてる上鳴くん。もう、恥ずかしい！
「要はさ、今の様子が"素"なんだろ？」
『へ？』
上鳴くんに両腕に握られ、ぐっと距離が近くなる。そして私の心拍数は急上昇する。
「切島に対する感じで、今、接していたからな」
確かに。思い返せば、タメ口だった......。
「それが俺としては嬉しいの」
え、それって。
「帰るか！」
上鳴くんは私の手を握りだし、歩き出す。
駅まで何を話したか覚えてない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 53人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雛(プロフ) - ねねさん» はじめまして。コメントありがとうございます！そう言われると嬉しい限りです( ；∀；) お話的には結構オチに近付いてきてるのでこれからも更新頑張らせていただきます！ (2017年9月18日 17時) (
レス) id: b31a2b7c08 (このIDを非表示/違反報告)
ねね(プロフ) - 最高です！上鳴推しにはたまらんです♪更新楽しみにしています。 (2017年9月18日 3時) (レス) id: 5be3cb0310 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雛 | 作成日時：2017年8月17日 0時
