夕陽 ページ26
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「楽しかったな！」
『はい！』
閉館時間になった為、私たちは水族館を出て駅へ向かう。
───帰りたくない。まだ一緒にいたい。
なんて思ってしまうのはダメなことですか？
なあ、と話しかけられ、驚きつつも隣を歩く上鳴くんの方を見る。
「今日はありがとな」
夕陽に照らし出されるアナタの笑顔が眩し過ぎて、直視できないよ......。
『私の方こそありがとうございます！』
お辞儀をしようと思ったけど、手を繋いでいるからそれは出来ずに終わる。
「Aちゃんって礼儀正しいよな。ヤオモモみたいにお嬢様？」
『ちっ、違います！百ちゃんみたいな立派なお嬢様じゃありませんよ』
空いてる右手を左右に振る。私がお嬢様なんて有り得ない！一般家庭の子供です！
「だってさ、切島以外には丁寧語じゃん？」
『それは......鋭児郎以外の人と話すのに慣れてないので、つい。話すとが嫌ってことはないんですけど......』
しどろもどろに答える。
「なるほどな、じゃあさちょっとずつ慣らしていこーぜ」
『え』
「例えば、"はい"じゃなくて"うん"にしてみよーぜ。とりま今から実践なー」
上鳴くんは緩く言う。
『はいっ！あ、うん！』
......早速間違えた。恥ずかしい。
「ふ、ははっ！まだまだこれから練習だな」
上鳴くんは吹き出して笑う。頭を優しく撫でられる。
まるで仔犬や仔猫みたいに扱われる。嬉しいような、恥ずかしいような。
ああ、このまま時が止まればいいのに。
「────いいのに......」
『え』
今なんて言ったんだろ。もしかして上鳴くんも同じこと考えているのかな、って浮かれちゃダメだ！
1人でしょうもないことを考えてたら駅に着いた。
『あの、今日ほんとにありがとう。楽しかった』
上手く話せたかな？ぎこちなくなかったかな？
「ッ、俺の方こそありがとうな」
そう言って微笑む。今までと違う
"太陽"でも"月"でもない"夕陽"みたいな。朱く染まって寂しそうに微笑む。
そんなカオしないでよ。もっと一緒にいたくなる気持ちが強くなっちゃうよ......。
ワガママ言っちゃダメだ。早く足を動かさないと。
『また、明日ね』
繋いだ手を離す。手の熱が消えていく。その熱を消したくなくて握りこぶしを作る。そして、握りこぶしを解いて手を振る。
私、笑えているかな？変な顔になってないかな？
「ああ、また明日な」
手を振り返してくれる。
振り向いちゃダメだ。
私は足早に歩いた。
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雛(プロフ) - ねねさん» はじめまして。コメントありがとうございます！そう言われると嬉しい限りです( ；∀；) お話的には結構オチに近付いてきてるのでこれからも更新頑張らせていただきます！ (2017年9月18日 17時) (
レス) id: b31a2b7c08 (このIDを非表示/違反報告)
ねね(プロフ) - 最高です！上鳴推しにはたまらんです♪更新楽しみにしています。 (2017年9月18日 3時) (レス) id: 5be3cb0310 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雛 | 作成日時：2017年8月17日 0時
