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なんとかいつもの時間の電車に乗って。
駅から会社へと向かう途中。
「食パン真っ黒にしたのは？」
「ジェシーくん」
「じゃあ焦げくさい部屋にしたのは？」
「ジェシーくん」
「そう、全部俺」
「……これなに？」
「本当は怒ってるんでしょって訊いてんの」
「いや、かわいいなとしか思わなかったけど」
「なぁんでだよ！ どこでだよ！」
珍しく、あの陽気なジェシーくんが辟易としていた。
「……待って、もしかして食パンとは別のこと？」
「え？」
「知らない間に俺Aに嫌なことしちゃってた？」
ひらめいた！ みたいな顔。
「だからだ。そんでやり返してるんでしょ？」
「ちょ、なんの話？」
「最近そうやって�爐�わいい�瓩个辰�言うじゃん」
俺が嫌だって何回止めてもさあ、って口を尖らせるジェシーくん。かわいい。
「あ！ また俺のことかわいいって目で見た！」
なんでバレた？
まあたしかに、正直前より頻繁に「かわいい」って連呼することが増えたのは事実。
でも、それは今までわざわざ言葉にしなかっただけの話なので、急に理由を求められたって答えようもない。
そんなこと言ったら多分もっとすねるし。
「別にジェシーくんはなんにもしてないよ」
「……じゃあなんで？」
「ジェシーくんこそなんで？ そんなに嫌？」
「かっこいい、がいい」
「そりゃかっこいいよ」
「……」
「でもかわいくもあるんだもん、しかたないじゃん」
……このバカップルトークもうやめない？
「へえ、じゃあ俺もう知ーらない」
「なにが――」
いきなり私の腕をとって、ジェシーくんが自分のほうへと引き寄せた。
ほとんど会社のすぐそばだというのに。
さすがにこの距離感だと�爐燭世寮菁擇噺綰抬瓩任歪麺僂靴覆ぁ�
「な、手、……離そっか？」
「AHA、なあに急に怖い顔しちゃって」
ああ。これは。よくない。
なんて直感が警鐘を鳴らす頃には、打って変わってジェシーくんは得意げに笑っていた。
「待って、今はお願い」
「やめてほしい？」
「……もう絶対かわいいとか言わない」
「HEHEっ、なんの話？」
「ねえごめん！ 謝るから！」
「謝るって？ Aなんか勘違いしてない？」
「……え？」
「俺に仕返しされてるって思ってるでしょ」
「そう……じゃないの？」
「ぶっぶー、ハズレ！」
人目もはばからず、私の耳元に唇を寄せて。
「Aがかわいいから、こうしたくなっただけ」
――それってしかたないことでしょ？ って。
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作者名：びびたん
| 作成日時：2022年5月30日 20時
