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仁人「二人は…先に行っててくれ…。私も…少し休んだら…また動けるようになる…。そしたら…すぐに…追いつくから…」
太智「馬鹿!そんなことできるか!!ほら、掴まれ!!」
太智は仁人の腕を自分の肩に回して背負い起した。
その隣で柔太朗も仁人の腕を自分の肩に回す。
仁人「おい…!これじゃ…足手まといになるだけだ…!私を置いていけ…!」
ほとんど動けない仁人を支えながら歩く三人の移動速度は普通に歩く何倍も遅い。
手がふさがっていて勇者の能力もまともには使えない。
こんな状態では、すぐにでもあの黒い雷に撃たれてしまうだろう。
岩さえ簡単に粉砕するほどの威力。
人が撃たれれば即死は免れない。
仁人「聞いてるのか…?!私の事は良いから…!」
柔太朗「お前が俺達の立場ったらどうした?!これ以上ごちゃごちゃ抜かすと、氷漬けにしてでも抱えて行ってやる!!」
それを聞いて仁人は押し黙った。
柔太朗の言ったように、もし自分が二人の立場だったら。
柔太朗か太智が同じように動けなくなっていたら、仁人は迷わず同じことをしただろう。
しかし、そうは言ってもこの状況、いくら策をめぐらせても好ましくはないのは確かだ。
全滅になるぐらいならば、いっそ見捨ててほしい。
けれど、この二人にそんなことを言って聞き入れてくれるとも思えない。
そんな仁人の想いをあざ笑う様に、上空からの雷は勢いを増す。
近くに落ちた雷が地面を抉り飛ばして、破片が三人の行く手を塞ぐ。
それでも彼らは歯を食いしばって仁人を抱えたまま歩き続ける。
そして、遂にその時はやってきた。
真っ黒な雷が三人の目の前に落下し、彼らは簡単に吹き飛ばされた。
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年12月14日 18時