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激しく鳴り響く雷鳴の中、仲間たちと再会を約束した場所へと駆ける。
崖は崩れ、川の水も土砂で埋まり、木々は燃えて黒い煙が上がっている。
柔太朗「もう少しで約束の場所だ!」
太智「この辺も、だいぶ崩れてるな…。瑞生たち大丈夫かな?!」
柔太朗「勇斗を見つけてきっと無事でいるさ!それより、この雷からは、あのプライドという大罪と同じ気配を感じる!」
太智「それって、もしかして…?!」
柔太朗「あぁ!俺の感が正しければ、この雷は…」
柔太朗は氷で盾を作り、太智は体から雷を撃ちあげて空から降り注ぐ黒い雷撃を弾き飛ばしていた。
しかし、黒い雷撃の威力は想像以上で、弾き飛ばす、というよりは軌道を少し変えるほどしか効果はない。
そして、仁人も黄色と白、青の三色に煌く聖剣を振り回して雷撃を掃っていた。
仁人「瑞生…琉弥…舜太…勇斗…!」
仁人は仲間たちの名前をつぶやき、懸命に約束の場所へ向かう。
柔太朗「くそ…!しかしこの雷を止める手立ては何かないのか!?」
いくら払い除けても黒い雷は空から無限に降り注いでくる。
氷の盾もすぐに粉砕してしまう為、もう何度作り直したかもわからない。
太智「これじゃ、本当に世界が…!」
柔太朗「仁人、何か策はある…か…?」
柔太朗が仁人の方に視線をやると、さっきまで隣にいたはずの仁人がいない。
柔太朗「仁人?!」
とっさに振り返ると、仁人は後方でうつ伏せに倒れこんでいた。
太智「仁人!!どうかしたのか?!」
駆け寄ってみると、雷に撃たれた様子はない。
しかし、手に持っていた聖剣まで落として、ぐったりと倒れこんでいる。
太智「仁人?おい!」
柔太朗「仁人!!」
仁人「…………。だ、大丈夫………。少し………
柔太朗「……」
無理もない。
あれだけの拷問を受けて、どうかしないわけがない。
確かに体の傷は、琉弥の薬のおかげでだいぶマシにはなっていたが、まだ肩も背中も体中の傷も、なにより心の傷も、完全に癒えたわけではない。
更に、食事も何日もしていないし、睡眠だってほとんどしてないのだ。
ここまで立っていたのが不思議なほど、仁人の体は限界を超えているはずだ。
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年12月14日 18時