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しかし、立つこともままならず、ふらつきながら仁人はどこを見ているのかもわからない。
ただ、聖剣の切先だけは、しっかりとプライドに向けられていた。
が、その聖剣も、すでに勇者達の煌きが失われ、何の光も放っていないただの鉄の剣と化していた。
プライド「ふはは!なぜ立ち上がったのだ?そんな体で一体何ができる?俺にまだ勝つ気でいるのか?」
仁人にはもう言葉を発することすらできないが、口から血や涎を垂らしながら、必死の形相でプライドをにらみつける。
そんな仁人をあざ笑い、プライドはその手から黒い波動を仁人めがけて放った。
その波動は聖剣をいとも簡単に弾き飛ばし、仁人の手を離れて放物線を描きながら地面に落下していった。
プライド「さあ、武器も失ってお前にはもう何も残ってはいない。どうするつもりだ?」
それでも絶対に、諦めない。
諦めるわけには、いかないのだ。
仁人の左手に黄色く輝く煌きが集まっていき、それを勢いよくプライドに投げつける。
だが、仁人の放った渾身の煌きも、プライドの放つ黒い波動にかき消され、小さな光はやがて消えていった。
プライド「これが人間の強さか?笑わせるなよ人間」
血反吐を吐きながら、仁人は、血まみれで地面に倒れこんだ仲間たちを守るように、左腕を目一杯広げた。
プライド「ふ、ふははは!!そんな体になってまで、こんな状況になってまで、お前は最期に仲間とやらを守るというのか?それが慈愛の心というやつか?!それが人間の強さだというのか?!…もうわかった。それが無意味で無駄なことだということがな!!」
そう言うと、プライドは仁人めがけて黒い波動を放ち、仁人の体は軽々と吹き飛んで木の幹に叩きつけられた。
仁人「あ゛あ゛…!!」
そして、仁人も遂に力尽き、その場で力なく体を地面に横たわらせた。
プライド「これでようやく終わりだ…。さらばだ勇者ども…」
そう言って、黒い波動の弾を作り出し、勇者たちに止めを放った―
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年12月14日 18時