ページ ページ35
側近の顔に、生暖かい血がかかった。
顔をあげると、体を打ち抜かれた柔太朗が、自分を守るように覆いかぶさっているのが見えた。
側近「ど、どうして…」
柔太朗「人間を、この世界を守る…それが俺たち勇者の使命だから…」
太智「ソルティダイチャージ!!」
グリードの背後で雷鳴が鳴り響き、青い稲妻がほとばしった。
太智「お前の相手はこっちだ!!」
太智が、柔太朗たちから引き離すように気を引いてくれている。
その間に、柔太朗は側近の腕を引っ張って先ほど壊した扉の方へ駆けていった。
柔太朗「とにかく…、他の兵を連れて逃げてください…。あいつは俺たちが何としても倒します…。戦争の話はその後で…」
側近「傷は…」
柔太朗「あぁ…大丈夫ですよ…止血ならもう済んでますし…」
撃たれた傷口は、すでに凍り付いて閉ざされていた。
側近「ここを出て二つ先の扉…そこから降りていった部屋にあの方はおりますわ。拘束を外す鍵はこれです」
そう言うと、側近は一つの鍵を柔太朗に手渡した。
柔太朗「これは…。ありがとう。さぁ早く避難を…!!」
側近は黙ってうなずくと、廊下のいる近衛兵に呼びかけていった。
柔太朗「よし…」
部屋の中では太智がグリード集合体に追い詰められている。
そして、一歩踏み出して、太智に襲い掛かる瞬間、その足は凍った床で滑り、盛大に転倒して、バラバラに分裂した。
柔太朗「太智!!こっちだ!!」
太智「ありがとう柔様!!」
柔太朗たちは玉座の間から飛び出すと、さっき教えてもらった部屋に急行する。
が、グリード達はすぐに体勢を立て直すと、柔太朗と太智の前に立ちはだかった。
柔太朗「くっ…しつこい奴らだ…」
グリード「有効な攻撃フォーメンション計算終了。陣形を組みなおし、勇者を直ちに排除します」
柔太朗「!!」
グリード達は二人の周りに浮かび上がり、一斉に口から炎や銃弾を撃ちだし、二人の血しぶきが勢いよく辺りに散らばった―
―
4人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:milkssss | 作成日時:2019年11月18日 16時