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炎の龍が周囲を燃やし尽くし、蒸発させていく。
やがてプライドは元の洞穴まで後退してきた。
洞穴の中へ入り込み、更に奥へと空中を滑るように移動していく。

舜太「どこに逃げても無駄や…!!絶対逃がさへん…!!燃やしてやる…!!」

プライド「この…。(おご)るなと言ったはずだ!!!」

やがて洞穴の中腹で動きを止めたプライドは、舜太に向かって黒い波動弾を放った。
しかしそれは舜太を取り巻く炎の龍が打ち消し、蒸発させていく。

プライド「何だと…?!この…人間め!!」

プライドは無数に黒い波動を撃ちだすが、そのすべてを舜太は炎で()ぎ払い、辺りは灼熱の炎に包まれた。

プライド「おのれ…!!」

舜太「次は俺から行く…で…。ぅぐっ?!」

その時、舜太は心臓辺りに激痛を感じて胸を押さえた。
勇者の力が上手くコントロールできない。
舜太の怒りに呼応するかのように膨れ上がる勇者の力。
しかし、それは本人の体さえ(むしば)んでいく、まさに諸刃(もろは)の剣のような力だ。
今の舜太は簡単に言うと勇者の力が制御できずに暴走し、爆弾を抱えているような状態なのだ。
この状態がいつまで続くかわからない。

プライド「どうした?随分苦しそうだが?」

舜太「う、うるさい…!」

不敵に微笑むプライドとは対照に、苦しそうに油汗を流す舜太。

舜太「この一撃で…お前を……ゔっ…ぶはっ…?!」

心臓の痛みは全身に回り、口から赤黒い血が噴き出した。
更に意識が朦朧(もうろう)としていく。

プライド「威勢が良かったのは初めだけか…。ふはは!!己の力もうまく扱えない哀れな奴め。これでは俺が何をしなくとも死にそうだな」

舜太「さっきも言ったやろ…。そんなん、どうでもいい…!」

プライド「ふん、自分の命を削ってまで、何をそんなに(いきどお)る?たかだか仲間の一人が死んだぐらいで、人間はなぜそんなにも感情的になるのだ」

舜太「平気で仲間を殺せるお前なんかには…分からんやろうけどな…。仲間を傷つけられて…馬鹿にされて…笑われるなんて…そんなん…許せるわけない…!!」

周囲の温度が更に高くなり、舜太を取り巻く炎も激しさを増していく。
しかし、その壮絶な高温でついに舜太の皮膚まで焼けて溶け始めていた。
 

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設定タグ:M!LK , 勇者   
作品ジャンル:ファンタジー
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年11月18日 16時

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