第九章 ページ1
この町で野盗団が起こした戦闘は、瞬く間に国中でニュースとなった。
もちろん、この国、牛乳王国の国王の耳にも入ることになる。
国王は南の国の襲撃に備え、直ちに軍を編成。
国中が不安な日々を過ごすこととなった。
七つの大罪の一つ、"エンビー"に嫉妬の罪に落とされた村の住人である向日葵も、不安そうに外の様子を見つめていた。
向日葵「きっと、勇者の兄ちゃんたちが何とかしてくれるよ…そうでしょ…?」
見上げた空は暗い雲に覆われ、雨が降り止まない。
南の国、国境付近―
男A「何だこの新聞の記事は…」
一人の男性が大きな木の下で雨宿りがてらに、今朝配られていた新聞に一通り目を通したところでそうつぶやいた。
その隣で、もう一人の男性もその新聞の一面を眺める。
男B「牛乳王国と、南の国の全面戦争勃発…?!しかも、若い勇者の一団がその戦争の立役者…?そんな馬鹿な…」
男A「まさか俺達が出ていった後にこんなことになってたなんて…。でもこれじゃ、まるで勇者達が戦争を誘発してるみたいな書き方じゃないか…。あの子らがそんなことするわけないのに…!」
男B「いい加減なことばかり書きやがって!これだから報道機関は信用ならねえんだ!」
新聞の記事には、彼ら七人の顔写真と共にこう書いてある。
"戦争まで秒読み開始!首謀者は勇者!勇者が町を襲撃、そのうちの一人が町を破壊し、恐ろしい能力により死傷者多数。物資を求めてやってきた南の国の雇われ野盗団も巻き込まれ、報復のためすぐにでも南の国が攻め込んでくる模様"
男A「この記事を見れば、国王様も黙ってはいない。あの子らが危険になるかもしれん。お前はすぐに戻って国王様に本当のことを言ってきてくれ」
男B「わかった。こんな記事が出回った後だ。お前も南の国の偵察、気を付けろよ」
そう言って、男性達は馬にまたがり、それぞれ別の方向へ走り出そうとしたとき。
馬が急にその場で倒れこみ、男性達は地面に放り出されてしまった。
男A「痛てて…急にどうしたんだ…?!」
「行かせないかもねー…。勇者は悪者ってことにしといたほうが、いい感じかもしれないしー…」
男性達の周りから、声だけが聞こえる。
小さな子供のようなその声は、どこから聞こえてくるのかわからない。
男性B「誰だ…?!」
「僕はねー…名乗るほどの者でもないよー…。それにどうせ、君達は今ここで……死ぬんだから」
男性達の血しぶきが、雨に濡れた地面に広がる。
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年10月28日 19時