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仁人「はぁ…ツッコミ疲れた…あれ?琉弥は行かないのか?」
琉弥「もちろん行くよ!でも走ると危ないしね」
琉弥は前みたいに、大声で笑ったり、ふざけてしゃべる回数が減った。
別に暗くなったとか、笑わなくなったとか、しゃべらなくなったとか、落ち込んでるとか、元気がないとか、そう言うことではない。
ただ少し、大人しくなった。
いや、大人になった。
瑞生「じゃ、僕らは大人チームってことで、ゆっくり行こうか」
琉弥「うんっ!」
瑞生は琉弥の頭にぽんっと手を乗せると、自慢のハニカミスマイルを見せた。
それにつられるように、琉弥もにこっとほほ笑むのだった。
仁人「それにしても、大人チームと言うなら柔太朗もこっちだと思っていたけど、最近は冗談も言うようになったし、よく笑うようにもなったし、かなりオープンになったな」
瑞生「そうだね。仁人が言う様に、以前はただの格好つけの中二病が入った可愛げのないどうしようもない※
仁人「え?あぁ…いや、誰もそこまでは言ってないんだけど…」
瑞生「まぁ、勇斗とのわだかまりがなくなって、色んな意味で馴染んできたのかもね。王子様とは言っても、まだ血気盛んな十七歳だし」
仁人「そうだな…。まぁ、勇斗のあの分け隔てない接し方のおかげだな」
瑞生「ん?…おい、仁人。何か様子がおかしい」
すると、瑞生は勇斗たちが駆けていった場所を指さした。
小高い丘の下から、何やら黒い煙が上がっているのが見えた。
仁人達も急いで勇斗たちの元へ駆けつける。
仁人「な、なんだ、これは…?!」
丘の下に広がる風景。
そこには黒く焼け焦げた家々が並んでいる。
ほとんどの家は焼け崩れ、ところどころから黒い煙がくすぶっている。
瑞生「ひどいね…。火事…にしては村全部がこんな風に燃えるわけない…。だとすれば…」
仁人が、行ってみようという前に、勇斗は何も言わずに丘を滑るように下っていった。
仁人「勇斗…?!私たちも行こう!」
仁人達も勇斗に続いて丘を下っていった。
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※朴念仁…無口で愛想のない分からず屋のこと
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年10月7日 16時