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瑞生のその言葉に、仁人は拳を握りしめた。
その指の間から、血がにじむ。
仁人「くそ…」
悔しかった。
また、関係のない人が次々と犠牲になっている。
どうすればいいんだ…。
勇斗「これは、俺たち全員の責任だ…。早く残りの七つの大罪を見つけてぶっ倒さねえとな…」
勇斗はそう言うと、仁人の肩を静かに押さえてくれた。
その声に、仁人は少し落ち着きを取り戻すことができた。
なぜなら、無表情に見える勇斗のその瞳の奥で、自分以上に鬼気迫るものを感じたのだ。
仁人は少し、その目に見えない気迫にたじろいでしまった。
仁人「勇斗…。あぁ、そうだな…」
男A「お前さんらも気を付けなよ。まだその野盗達がこの辺うろうろしてるかもしれないからな」
瑞生「はい、わかりました…ありがとうございます…」
男B「そうそう、気を付けな。あ痛てて…」
すると、男性は腕を押さえて顔をしかめた。
その腕は、赤い水膨れができている。
琉弥「大丈夫ですか?酷い火傷だけど…」
男B「あぁ、この村の消火の時にできたやつだ。まぁ大丈夫だ。これぐらい」
そう言ってその男性は笑っていたが、琉弥は少し心配だった。
琉弥「あの、俺ならその火傷治せるかも。良かったら診せてもらえないですか?」
舜太「この子、腕のいいお医者さんなんです」
男B「え?本当か?なら、お願いしようかな?」
男A「それなら、俺達の仲間が向こうにいてな。そいつらも何人か火傷や怪我しててな。一緒に診てやってくれないか?」
琉弥「はいもちろん!じゃあ…柔君も一緒に良い?人手がいるし、氷も必要になるから」
柔太朗「あぁ。俺でよかったら喜んで」
仁人「私も手伝おう。少し調べたいこともあるし」
琉弥「本当に?!じゃあお願いするね!」
男A「それじゃ、こっちだ」
琉弥「は〜いっ。じゃあちょっと行ってくるね!」
瑞生「うん。頼んだよ、三人とも」
舜太「いってらっしゃーい!」
男性達に着いて行った仁人と琉弥と柔太朗を、瑞生達は見送った。
太智「それにしても、その野盗連中、絶対許せない…!」
瑞生「…そうだね。やりすぎだよ、こんなこと」
珍しく、瑞生も太智と同じように怒りに満ちた表情を浮かべていた。
太智「そいつら見つけて、俺が殺―」
太智がそこまで言いかけた時だった。
その言葉を勇斗が遮った。
勇斗「やめとけ。そんな復讐みたいなこと」
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年10月7日 16時