ページ ページ13
神楽「そんなの間違いです…。ここに眠る神様はそんなことしません。ずっとこの村を見守ってくださっていた優しい神様なのです…」
瑞生「…」
神楽「そんな神様が、怒って神隠しをするだなんて思えません…」
柔太朗「でも、この神隠しはどう見るんだ?他の何かの仕業ということか?巫女だったらそれぐらいわかるはずだろ…?」
神楽「そ、それは…」
柔太朗「それに…」
瑞生「やめなよ柔太朗。困ってるだろ?ガラの悪い王子様でごめんね」
神楽に問い詰める柔太朗を諭すようにそう言いながら、瑞生は神楽に向かって笑顔を見せた。
柔太朗「瑞生、お前…」
瑞生「"今はまだいい"。それより、皆、集落の方に戻ろう」
仁人「…そうだな」
仁人の命で勇者達はこの場から引き上げることにした。
勇者達の背に広がる湖は、穏やかに水面を揺らしていた。
―
今朝神隠しに遭ったこの村の住人は、畑仕事のために暗いうちに家を出発し、忘れ物に気が付いた奥さんが後を追いかけた時には、すでにご主人は忽然と姿を消していたという。
その間わずか三十秒ほど。
そんな短い時間に人がいなくなるのは確かに不自然であり、不可能だ。
仁人「やはり、神隠しなのか…」
太智「あの古墳に眠る神様の仕業で間違いないだろ。神隠しって言うぐらいなんだから」
瑞生「まだ分からないだろ。それに神楽さんも言っていただろ?あそこの神様はそんなことしないって」
太智「…。えらく神楽ちゃんの肩もつねぇ」
瑞生「別に。僕は色んな可能性を考えているだけさ」
太智「ほうほう…」
瑞生「何だい?何か言いたげだね?」
太智「むふふ、べっつにー!」
瑞生「…とにかく、僕を呼ぶあの声の正体もまだわかっていない。ここは手分けしてこの村を調べてみよう。神隠しの痕跡が何か見つかるかもしれない。あの古墳の神様を調べるのはそれからでも遅くないだろ」
仁人「まぁ、今はそれ以外何かできるとも思えない。瑞生の言う通り、夕暮れになったらまたここに集合ということで、皆手分けしてこの村を調べてみよう」
そして、勇者達はそれぞれバラバラの方向へ向かってこの村の神隠しについて調べることになった。
―
8人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:milkssss | 作成日時:2019年9月23日 19時