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琉弥「あらかたの毒は抜いたし、俺の毒をちょっとだけ柔君の中に流しておいた。これで残った毒も中和してくれるはず…」
柔太朗の治療を終えた琉弥が、額の汗をぬぐいながらそう言った。
太智「で、でもまだ苦しそうだぜ?本当に大丈夫なのか?」
地面に寝そべる柔太朗は、苦しそうな表情を浮かべてうなされている。
琉弥「俺の薬の力は、魔法みたいな回復能力じゃない…。人間の自然治癒力の効果を爆発的に高めて、治癒させる能力なんだ。だから、瞬間的に傷を塞いだり、毒を中和させたり、病原菌を殺すことはできるけど、その分失った血や、体力までは回復できないんだ…。だからあとは、柔君の体力がどこまでもつか…。早く、安全なところでゆっくり休ませてあげなきゃ…」
瑞生「なら、僕の水晶玉の中へ柔太朗を連れて行こう。ゆっくり休めはしないけれど、ここにいるよりは安全だ。琉弥、柔太朗と一緒に入って看病していてくれるかい?その間に僕らは安全に休めそうな場所を探しておくから」
瑞生はそう言って、黄昏色の水晶玉をそっと取り出した。
琉弥「うん。わかった。お願いねっ」
琉弥は、うなされて眠っている柔太朗の手を握ると、もう片方の手で水晶玉に触れた。
黄昏の光に包まれ、二人は水晶玉の中へと消えていった。
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年9月23日 19時