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城内―
城の外壁をよじ登り、一人の屈強な男が扉に手をかけて入ってきた。
「はぁ、はぁ…俺が一番乗りだな」
ラスト「ほう、なかなか早かったのぅ」
ラストは城内の大きな部屋の真ん中で、豪華な装飾の椅子に腰かけて待っていた。
「あ、ラ、ラスト姫様…。不肖私めが、あなた様の身の回りのお世話を…」
男は完全に鼻の下を伸ばしてラストに近づく。
ラスト「おーほっほっほ。下衆な人間じゃ…。そなた、わらわの目をよく見るのじゃ」
「はいぃ…」
男はにやけ顔でラストの目を見つめた。
「?!」
しかし、その男は急に項垂れると、その場で立ち止まる。
ラスト「そなたは城の掃除係じゃ。埃ひとつ残すでないぞ」
「わかりました…」
男はゆっくり頷くと、ラストに背を向けて城の中へ消えていった。
それからも、次々と城内へ人が入ってくるたび、ラストは命令を下した。
その誰もが、項垂れて静かにその命令に従う。
ラスト「そろそろ十五分。城にやってきたのはたったの六人か。案外少ないもんじゃ」
ラストは懐中時計をぱたりと閉じて立ち上がった。
ラスト「世話係1と2。その扉を閉めろ」
「わかりました」
二人の人間が、項垂れた状態で扉に手をかけた。
「待った待ったー!!!」
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年9月9日 17時