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仁人「げほっ…ごほっ…」
口の中に、鉄の味が広がる。
仁人「ぐああああ！！」
休む間もなく、仁人は自分の右足に激痛を感じ、叫び声をあげた。
エンビーが、太ももに突き刺さった矢をさらに深くまでねじ込んでいた。
エンビー「ほら！もっと苦しめよ！！」
仁人「ぐあああ！！あああ！！」
やがてその矢は、仁人の太ももを貫通し、血がしたたり落ちた。
エンビー「そうだよ、その顔だ！！へっへっへ！！」
更に、エンビーは仁人の腰の聖剣を無理やり奪うと、仁人の右足めがけてそれを振り下ろした。
仁人の悲鳴が、狭い納屋の地下に響き渡った。
エンビー「何だ？この剣全然切れねえじゃねえか。お前をバラバラにしてやろうと思ったのに」
煌きの力を纏っていない聖剣は、何も切れないなまくらだ。
しかし、傷を負った仁人の右足に大ダメージを与えるには十分だった。
鉄の塊で殴られた右足の骨が砕ける音が、鳴り響く。
仁人「うぐぅああ！あぐ…チェ、チェスト！！」
仁人の放った渾身の光がエンビーを聖剣ごと吹き飛ばす。
そして、仁人は足を引きずりながらなんとか立ち上がると、壁を支えにエンビーに向き合った。
エンビー「これが勇者の力ってやつか…。なかなか効いたぜ…」
エンビーは口から流れ出る血を舐めながらそう言った。
仁人「ハァ…ハァ…」
矢に貫かれ、骨の砕けた右足の痛みに耐えながら、何とか体勢を立て直す。
エンビー「やっぱりお前、可愛い顔してるな」
そう言うと、エンビーは近くにあった木の箱を思い切り仁人めがけて投げつける。
何とか避けるが、右足が踏ん張れず、体勢が崩れる。
そこへ、仁人の頬めがけてエンビーのフックがさく裂した。
仁人の体は吹き飛び、壁に頭から激突した。
エンビー「やっと顔に一発…。どんどんいくぜ！」
そう言ってエンビーは倒れこむ仁人の襟をつかみ、無理矢理立ち上がらせ、
その度に仁人の口から赤い血が噴き出した。
仁人「うぶっ…！！ゴブァ…！！」
そして、さっきの殴ったほうとは逆の頬を殴りつけ、仁人は再び地面に伏した。
エンビー「何寝てんだよ！！おらあ！！」
エンビーの攻撃は止まない。
今度は仁人の髪の毛を引っ張り、顔だけ上を向かせると、さらに仁人の顔を殴りつける。
真っ赤な血しぶきがエンビーの顔に飛ぶ。
エンビー「へっへ！どうした？！もう終わりか？！」
そう言いながら、力なく倒れこんだ仁人の体を何度も踏みつけ、蹴り続けた。
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作者名：milkssss | 作成日時：2019年9月9日 17時
