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どれぐらい階段を上っただろうか。
下からは、かすかにだが人々の声が聞こえる。
ラスト「うぐっ…!」
ラストは琉弥に中てられた毒により、足元がおぼつかず、つまずいてしまった。
太智「大丈夫?!」
ラスト「まだ毒が残っておるのか…体が痺れる…」
すると、太智はラストをお姫様抱っこで抱きかかえた。
ラスト「きゃっ」
太智「ご、ごめん…。でもこうするしか…」
ラスト「いや、よい…」
ラストは頬を赤らめる。
太智も同じように赤くなって再び階段を上り始めた。
ラスト「お、重たくないか?」
太智「大丈夫、大丈夫!全然平気!」
ラスト「そ、その、あまり、無理するなよ…」
太智「平気、平気ー!」
太智はそう言って笑った。
やがて、頂上へ出る扉が見えてきた。
あともう少し。
ラスト「も、もう下ろせ。体が動くようになってきた」
太智「本当に?大丈夫?」
ラスト「ほら!」
そう言うと、ラストは手足をブンブンと動かしてみせた。
それを見て安心した太智は、ラストの体をゆっくりと地面に下ろした。
ラスト「奴ら、まだ当分は来ないじゃろ…。少し休もう」
ラストは上ってきた階段を見下ろしながら、そう言った。
群衆の声は遠くの方で聞こえるが、その姿は見えない。
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年9月9日 17時