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城内―。
太智「勇者を殺せって、そんな!」
ラスト「当然じゃ。そなたもわらわを騙しておった、わらわの敵じゃ!」
太智「騙してなんか…!」
ラスト「おーっほっほっほ!ならばどうする?聞いておるぞ。勇者はわらわたち七つの大罪を打ち倒すべく旅をしておるのじゃろう?そして、そなたは勇者でわらわは七つの大罪。相容れぬ存在じゃ」
太智「…」
太智は少し考えると、口を開いた。
太智「俺…勇者をやめる…」
ラスト「ほう…?どうやって?どうやってそれを証明する?」
太智「ちょっと…待ってて…!」
太智はさっきまでいた部屋に戻ると、手にナイフを持って戻ってきた。
太智「これ、勇者の印の牛乳瓶なんだ…これがある人間は、勇者ってことなんだけど…」
太智は自分の右手の甲をラストに見せた。
青い牛乳瓶のマークが浮かび上がっている。
太智は大きく深呼吸すると、左手に握っていたナイフを右手の甲に突き刺した。
太智「うぐぁああ!!!」
ラスト「?!!」
太智の右手から血がしたたり落ちる。
太智「うっ…ぐぅ…」
太智の顔は苦痛で歪み、涙があふれていた。
太智「こ、これで…俺…勇者じゃなくなったってことにしてよ…。でも…だからってわけじゃないんだけど…ほかの皆は…許してあげてほしいんだ…」
右手の甲は血にまみれ、赤く染まっている。
ラスト「…も、もうよい…出て行ってくれ」
そういうとラストは太智に背を向けて別の部屋に行ってしまった。
太智は壁にもたれかかると、その場に座り込んだ。
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年9月9日 17時