第五章 ページ1
黒く大きな三日月の形をした船が、黄泉の霊峰よりはるか東の空を飛んでいた。
その船は黒い煙の川に乗って、上空を飛んでいる。
「おーほっほっほ！わらわの愛しいグリードよ、ようやくそなたを見つけたぞ」
長く白い髪の毛、胸元や足を大きく露出させた黒い着物。
彼女の名は七つの大罪の一つ、ラスト＜色欲＞。
彼女は船の真ん中の、豪華な装飾に包まれた金色の椅子に腰かけ、その腕には白く小さな球体を抱きしめていた。
「ラスト、ヒサシブリ！デモ、グリード、チガウ！イマハ、ナマエ、シリマル！」
ラスト「うん？シリマル？なんじゃそれは」
シリマル「リュウビニ、ツケテモラッタ！」
ラスト「リュウビ？あぁ、あのそなたに"くっついてきた"子供か」
ラストは後ろを振り返る。
そこには、手足を縛られ、口は布のようなもので縛られた琉弥が横たわっていた。
琉弥「んー！！んー！！ん、んー！！」
ラスト「おっほっほ。何を言っておるのかわからん。あまりに必死にそなたに引っ付いてくるから連れてきたが、うるさいから突き落とすか」
シリマル「ダメ！リュウビ、トモダチ！」
ラスト「何？"七つの大罪の一つである"そなたに友達じゃと？おーほっほっほ！これは愉快じゃ。わかった。あやつは生かしておいてやろう。ただし城の牢屋の中でじゃがな」
琉弥(シリマルが…七つの大罪…？！そ、そんな…)
ラスト「もうすぐわらわの城に着く。可愛いグリードよ。そなたの部屋も用意せねばな」
そう言うと、ラストはシリマルを自分の頬にこすりつけた。
やがて空飛ぶ船は、巨大な城に辿り着き、城の頂上へ降り立った。
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作者名：milkssss | 作成日時：2019年9月9日 17時
