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黄泉の霊峰の麓にある小さな村。
建物は数えるほどしかないが、洋館とでもいうのか、二階建ての立派な宿屋が建っていた。
部屋数も少なくなく、一階の広間には異国のテーブルやソファ、壁にはからくり時計が掛けられ、おしゃれな雰囲気だ。
中に受付の人以外はおらず、仁人、勇斗、舜太、琉弥、柔太朗の五人は広間のソファに腰かけた。
そして、仁人は柔太朗に七つの大罪のこと、舜太の村でのこと、琉弥のシリマルのこと、西の都でのこと、そして、瑞生のことを話して聞かせた。
柔太朗「そ、そんな…!瑞生が?!」
柔太朗はいつもの冷静さを失い、ソファから立ち上がった。
柔太朗「七つの大罪…、おのれ…」
柔太朗は怒りをあらわにし、拳を震わせる。
舜太「柔くん、なんか怖い…」
柔太朗「え…」
舜太の言葉に、柔太朗は握っていた自分の拳を見つめた。
柔太朗「あ、あぁ…悪い…」
仁人「今日はもう遅い。部屋で休もう。命のマリーゴールドの探索は、明日の朝から始めよう」
勇斗「そうだな…。瑞生のために…」
瑞生のため…?
瑞生は助けるのか…?
俺の、両親や…仲間は殺したくせに…?
何で…
憎い…
憎い…
憎い…!
憎い!!!
仁人「柔太朗…!」
柔太朗「っ…!」
仁人「部屋、こっちだぞ」
柔太朗「じ、仁人…。あ、あぁ…。すまない…」
柔太朗は頭を押さえ、自分の部屋に入っていった。
琉弥「柔君、大丈夫かな?顔色悪かったけど…」
シリマル「リュウビ、シンパイ?」
すると、琉弥の背中袋で寝ていたシリマルが顔を出してきた。
琉弥「シリマル、おはよう。うん、ちょっと、心配かな…」
シリマル「リュウビ、ヤサシイ」
琉弥「そんなんじゃないよ。だって―」
大切な仲間なんだから…。
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年8月22日 18時