第四章 ページ24
勇斗「う、ぐ…」
勇斗はふらつきながらバランスを崩すと、そのまま前のめりになって倒れこんだ。
柔太朗「勇斗…!」
柔太朗は倒れこむ勇斗の体を支える。
勇斗「はは…、さすがに、血を流し過ぎたかな…」
勇斗の腹からは、いまだに血が滴り落ちて、血だまりが出来上がっていた。
柔太朗「すまない、勇斗…俺…なんてことを…」
柔太朗の目から涙が流れ出す。
勇斗「柔太朗…泣くなよ…」
柔太朗「でも、俺…」
勇斗「俺は…お前が…誰より優しいのを、知ってる…」
勇斗はにっこりと笑顔で柔太朗を見た。
勇斗「俺が、魔王の洗脳から解放されたとき…お前は俺に気を使って…本当のこと話さなかったろ…。今日宿屋から出ていったのだって、本当は俺に…危害を加えたくないから…だろ…?仁人をわざわざ眠らせてまで…」
柔太朗はゆっくりと頷く。
勇斗「それは…俺のこと…ちゃんと仲間だって…思ってくれてたんだよな…」
柔太朗「当たり前だろう…!今だって…!今だって思ってるよ…!」
その言葉で、勇斗の目からも涙があふれだした。
勇斗「はは…、やっぱ俺って、幸せもんだわ…」
柔太朗「…気に入らない…、それは俺のセリフだ…」
勇斗「それでこそ…柔様…」
勇斗と柔太朗は涙を流しながら笑いあった。
それを見て、仁人も安心したように二人を見守っていた。
「おーい!」
そこへ、琉弥と舜太が走ってこちらにやってくるのが見えた。
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年8月22日 18時