検索窓
今日:2 hit、昨日:8 hit、合計:12,609 hit

ページ ページ49

勇斗「神…!」

神「この中なら、あやつも安らかに眠れるじゃろう…」

勇斗は、神の胸倉を掴むと、木の幹に叩きつけた。

勇斗「今頃何しに来た?!なんで瑞生を助けてやらなかったんだ?!」

神「ほっほっほ…。前にも言った通り、わしら神は、お主らにお告げを下す以外で、地上に直接干渉してはならんことになっておる。わしら神が天界へ追いやられた際に、そういう取り決めになったのじゃ」

勇斗「でも、前は助けてくれたじゃないか!!」

神「そうじゃのう…。そもそもあれもわしの勝手な行い…。しかも、あの一件で、天界の警備は一層強くなってしもうての…。こうやって降りてくるのも難しくなってしもうた…。これ以上掟を破ると、天界にはおられなくなる…」

勇斗「そ、そんな…だけど…!!」

神の申し訳なさそうな顔に、勇斗は言いようのない憤りを覚えたが、神の胸倉に掴みかかっていたその手を緩めた。

琉弥「そんなこと言わないで…!神様だったら…瑞生君を生き返らせてよぉお!!」

琉弥の泣き叫ぶ声が森に響き渡る。

神「魔王にやられた時とはわけが違う。あの時はまだ皆息があったから、蘇生できただけじゃ…。しかし、一度死んでしまった人間を生き返らせる方法などない。それにそんなものがあれば、それこそこの世界の禁忌じゃ…」

神はゆっくりと目を伏せる。

神「もし仮にそんな方法があったとしても、お主らに教えるわけにはいかん…。そんなことをすれば、わしは厳罰に処されるじゃろう」

勇斗「…」

神「じゃから、"黄泉の霊峰に百年に一度、たった一輪だけ咲くと言われる命のマリーゴルドがあれば、死者を蘇らせることができる"など、口が裂けても言えん」

勇斗「…!!」

仁人「…っ」

神のその言葉に、今まで黙って涙を流していた仁人の体がピクリと動いた。

神「そんなこと言ってしまえば、わしはもう天界にはおられなくなるじゃろうな。じゃから、その涙はその時のためにとっておいてくれんかのぉ…」

勇斗がその言葉に何か言いかけた瞬間、神は人差し指を自分の口元に持っていき、"静かに"のジェスチャーをとった。
そして、その口元に笑みを浮かべると、天から降り注ぐ光を再び昇っていく。

神「ほっほっほ、それじゃ、お主らの健闘を祈っておるぞ」

やがて神の姿は見えなくなり、差し込んでいた光も消えた。

次ページ→←前ページ



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (8 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
7人がお気に入り
設定タグ:M!LK , 勇者   
作品ジャンル:ファンタジー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:milkssss | 作成日時:2019年8月5日 16時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。