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甘味処前。
店の前の腰かけ椅子で、仁人と勇斗は転寝を始め、その隣で舜太は見張り兼、呼び込みとして立っていた。
舜太「いらっしゃいませー!」
朝から昼まで客入りは順調で、特に変わったことや目立ったことも起きなかった。
このまま何事もなく一日が終わると思われた、その時だった。
店主「く、食い逃げや!!」
店内からの叫び声で、仁人と勇斗は目を覚ました。
仁人「く、食い逃げ?!」
勇斗「おい、舜太!ちゃんと見張ってたのか?!」
舜太「見てたよ!!でも、首筋にあの文字がある人なんて一人もおらんかったよ!!」
仁人「何だと…?」
その時、店から一人の女性が飛び出してきた。
勇斗「今度は女かよ!」
三人はその女を追いかける。
舜太「もう逃げられへんで!」
舜太はその女性の肩をつかんで停止させた。
首筋には罪の文字が浮かび上がっている。
勇斗は急いでその文字を、布切れで擦り落とした。
女「あ、れ?私、甘味処で食事してたはずやのに…。っていうか舜ちゃん?どないしたん、そんな怖い顔して」
舜太「あ、いや…、そんなに走ったら危ないで?」
女「え?あぁ、うん。ありがとう…」
そう言って、女性は何事もなかったかのように歩いて行ってしまった。
勇斗「どうなってるんだ…。ほんとにあの人、店に入る前はあの文字ついてなかったのか?」
舜太「ホンマについてなかったよ!ちゃんと見てたってば!」
仁人「舜太の言ってることは、多分本当だ」
勇斗「え?じゃあ、あの人何で…?!」
仁人「私たちは、大きな勘違いをしていたようだ」
舜太「勘違い?」
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年8月5日 16時