ページ ページ6
早速、仁人の前に現れた七つの大罪の一つ、エンビー。
黒いローブを身にまとったその顔の頬は痩け、緑色に鈍く光る目の下には、隈ができている。
エンビー「勇者…魔王を倒したって言うのは本当か…?」
掠れた固い声が風を切る。
仁人「あぁ、そうだ」
エンビー「お前みたいな、弱そうなやつが?あの魔王を?!冗談だろ?!」
エンビーはそう言うと、貧乏ゆすりのように右足をガタガタと震わせ始めた。
エンビー「ふざけるなよ…、お前みたいな!お前みたいなクソガキが?!」
そう言うと、目にも留まらぬ速さでその拳を仁人の顔めがけて繰り出す。
仁人も何とか両腕でガードに成功したが、あまりの衝撃で吹き飛ばされてしまった。
仁人「ぐっ!なんて力だ…!」
手に持っていた聖剣も今の攻撃で手放してしまった。
エンビー「こんな弱い奴に倒せるわけない!わけない!!俺にだってできなかったんだぞ!ふざけるな!!」
エンビーは容赦なく、幾度となく倒れた仁人の体を殴りつけ、踏みつけ蹴り飛ばす。
仁人「うっ!!ぐああ!!ぐはあ!!」
仁人(な、なんて攻撃だ…、防ぎきれない…!)
エンビー「ほら、こんなに弱いじゃないか!!だのになんで?!なんで?!なんで?!で?!!で?!!!」
エンビーの猛攻はやまない。
仁人「げほっ…がはぁ!ゴブッ…!」
仁人の口から大量の鮮血が飛び散り、左腕は折れてしまったのか、あらぬ方向へ曲がっていた。
仁人「う…あ…」
エンビー「ふー!ふー!」
肩で息をするエンビーの前には、血まみれでボロボロになった仁人が倒れている。
そして、仁人の体を足で仰向けに転がすと、折れた左腕を思い切り踏みつけた。
仁人「ぐああああああ!!」
仁人の悲痛の叫びが響き渡る。
エンビーはそれを聞いて、嬉しそうに仁人の左腕を踏みにじった。
エンビー「へへっ…よく見ると、可愛い顔してるじゃねえか…。羨ましい…、羨ましい!ウラヤマシイ!!!何でお前だけそんな…!魔王を倒せて、顔もよくて?!」
エンビーは鋭い蹴りを仁人に喰らわせ、仁人は軽々と吹き飛んで一本の桜の木にその体を打ち付けた。
エンビー「その顔…ぐちゃぐちゃにしてやるぜ」
仁人(も、もう…ダメだ…動けない…。やられる…)
エンビーは仁人の顔めがけ、拳を振りぬいた。
―
7人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:milkssss | 作成日時:2019年8月5日 16時