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勇斗「神…!」
神「この中なら、あやつも安らかに眠れるじゃろう…」
勇斗は、神の胸倉を掴むと、木の幹に叩きつけた。
勇斗「今頃何しに来た?!なんで瑞生を助けてやらなかったんだ?!」
神「ほっほっほ…。前にも言った通り、わしら神は、お主らにお告げを下す以外で、地上に直接干渉してはならんことになっておる。わしら神が天界へ追いやられた際に、そういう取り決めになったのじゃ」
勇斗「でも、前は助けてくれたじゃないか!!」
神「そうじゃのう…。そもそもあれもわしの勝手な行い…。しかも、あの一件で、天界の警備は一層強くなってしもうての…。こうやって降りてくるのも難しくなってしもうた…。これ以上掟を破ると、天界にはおられなくなる…」
勇斗「そ、そんな…だけど…!!」
神の申し訳なさそうな顔に、勇斗は言いようのない憤りを覚えたが、神の胸倉に掴みかかっていたその手を緩めた。
琉弥「そんなこと言わないで…!神様だったら…瑞生君を生き返らせてよぉお!!」
琉弥の泣き叫ぶ声が森に響き渡る。
神「魔王にやられた時とはわけが違う。あの時はまだ皆息があったから、蘇生できただけじゃ…。しかし、一度死んでしまった人間を生き返らせる方法などない。それにそんなものがあれば、それこそこの世界の禁忌じゃ…」
神はゆっくりと目を伏せる。
神「もし仮にそんな方法があったとしても、お主らに教えるわけにはいかん…。そんなことをすれば、わしは厳罰に処されるじゃろう」
勇斗「…」
神「じゃから、"黄泉の霊峰に百年に一度、たった一輪だけ咲くと言われる命のマリーゴルドがあれば、死者を蘇らせることができる"など、口が裂けても言えん」
勇斗「…!!」
仁人「…っ」
神のその言葉に、今まで黙って涙を流していた仁人の体がピクリと動いた。
神「そんなこと言ってしまえば、わしはもう天界にはおられなくなるじゃろうな。じゃから、その涙はその時のためにとっておいてくれんかのぉ…」
勇斗がその言葉に何か言いかけた瞬間、神は人差し指を自分の口元に持っていき、"静かに"のジェスチャーをとった。
そして、その口元に笑みを浮かべると、天から降り注ぐ光を再び昇っていく。
神「ほっほっほ、それじゃ、お主らの健闘を祈っておるぞ」
やがて神の姿は見えなくなり、差し込んでいた光も消えた。
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年8月5日 16時