1 ページ2
「A！！」
あぁ、これはお母さんの声だ。
美人で優しい私の自慢のお母さん。
「お母さんが、美人？？フフッ そんなお世話言わないの！！」
イタズラっぽく笑うその姿は、40代にはとても見えない。
クシャリと笑う、その笑顔は私をどうしようもなく安心させる。
「お父さんも、お母さんも帰ってくるのが遅いけど我慢してくれてありがとう」
寂しくなんてないもん。
だって、私には優しい家族がいる。
やさしいお母さんがいる。
「A大好きよ…」
うん。私も…
おかあさんが、だいすき……
-------
ん………
「ハッ……夢か…」
うん。夢じゃなきゃ可笑しいよね。
いやな、夢をみた。
眠い目をこすりながら、目覚まし時計を覗くと、針は5を指している。
「まだ5時……もう寝れないし、起きるかぁー…」
私の朝は、忙しい。
一日は、まずご飯を作る事から始まる。
ご飯は、目玉焼きと食パンのみ。
あいにく、不器用な私にはこれぐらいしか作れないから朝のメニューは大抵コレ。
お母さんと私、二人分の朝ごはんを作り終えると、やっと食事。
食べ終えたら、すぐに学校用の服に着替え、じゅんびをする。
その後、お父さんを起こしにいくんだ。
「お父さん〜！！仕事だよ！！」
階段の下で大声で叫ぶ。
「あぁ〜！！ちょっと待ってろ〜！！」
すると返事がまた遠くから、帰ってくる。
なんだかやまびこみたいだ。
そんなこんな色々あって、時刻はもう6時を指している。
「あっ、もうこんな時間！？
朝ってやっぱ時間の流れが早いな〜…」
6時には、学校に行く時間だ。
ガラガラガラ……
ドアを開けて、また大声で叫んだ。
「お父さん〜！！行ってくるからね！！」
「ああ！！気をつけて行ってこいよ！！」
毎日、私の朝はこの流れだ。
お母さんはきっと、今頃ベッドでぐっすり眠ってるんだろう。
お母さんなんか、大嫌いだ。
普通の家庭なら、全部全部お母さんがやってくれるのだ。
ご飯を作るのも、お父さんを起こすのも。
全部。
あんなだらしないお母さんなんて、大嫌いだ。
私の話も聞いてくれないスマホバカなお母さんなんて、
大嫌いだ。
「いってらっしゃい〜。A。元気でね！」
この台詞を最後に聞いたのは、
もう、1年も前のことだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ももか | 作成日時：2016年1月6日 20時
