[A.L.T.O]Rosary Kiss[学パロ/実.況.者]

十七輪 ページ18

お便りコーナーが終わり、楽曲紹介に移る。
その楽曲というのが、稲野ちゃんが所属する
学校内バンド＜Highness Star＞のオリジナル曲だった。
既に弁当を食べ終わっていた稲野ちゃんが、
恥ずかしそうな顔をしてポケットからトランプを取り出して見つめる。
やがて曲が終わると、持っていたトランプを机に置いた。

か「お送りしたのはHighness Starの
楽曲、＜さあ、飛び出そう！＞でした。
ではここから後半です。
今回も素敵なゲストにお越し頂いております。
日本史担当の演劇部顧問にして、女子生徒の憧れの的。
towaco先生でーす！」
と「どうも皆さんこんにちは。とわこです。」
落ち着いた低音ボイスが増え、クラス中の女子が色めき立つ。
尤も、私の一番近くで購買のパンを食べているリナは
良い顔はしてないんやけど。
初対面であんな事なったけんな、
少なくとも良いイメージは持っとらんやろ。
私は左手で、いつもリナがしている様に
パンを持っていない彼女の右手に触れる。
彼女は少しだけ笑い、握り返してくれた。
それを見た稲野ちゃんは、私らを見ないふりして
箱を開けて中のカードを混ぜ始めた。
か「今日は謎に包まれたtowaco先生の素顔を紐解いていこうと思います。
先生、宜しくお願いします！」
と「こちらこそお手柔らかにお願いしますね。」
続いて発せられた言葉に、またも色めき立つ。
人気者は大変やな。
『アルト、イナノ！センセが喋るだけデ、
皆heureusement。嬉しソウ。Quoi？』
あ「towaco先生はこの学校の女子に一番人気がある先生なんよ。
クールやけど優しいしな。」
『センセ、優しくナイ！』
稲「それはあの時だけだと思うぞ。
無愛想に見えるけど、リナの事を考えてくれてた訳だし。」
『ワタシの、コト…？』
稲「うん。じゃなきゃわざわざ
＜生徒会室に持っていく＞なんて言わねえよ。
それも、役員であるALTO君の前で。」
そんな事を話している間に、ラジオが終わる時間が来た様だ。
か「えー早いもので、もうお時間でございます。」
と「ほんまや。早いもんですね。もっと話したかったですわ。」
か「それも嘘ですか？」
と「さてどうでしょ。ほな告知しても良えやろか。」
か「また進行無視する！」
演劇部の次の舞台の告知をして、宜しくお願いしますと一言添える。
か「それでは本日のエンディングテーマ、
poez君が歌う[タイガーランペイジ]を聴きながらお別れです。
それでは皆さん、さようなら！」
終始先生のペースのまま、ラジオが終わった。

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