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十二輪 ページ13

う「ぐっない!」
あ「お疲れちゃーん!」
「お二人共、挨拶はきちんとして下さい。」
ぽ「テラゾー、一緒に帰ろー。」
テ「良いよ。先生さよなら。」
や「さようなら。暗くなってるから気を付けてね。」
会議が終わり、中にいた全員が外に出た。
近くで待っててくれていた二人と合流し、一緒に歩き始める。

横に三人並んで歩く帰り道。
今の話題は、先程受け取ったリナのボイスレコーダー。
あ「気になってたんやけどさ、
何で授業中に机に置いてたりしたん?
あれやったらすぐ分かるし、取られても文句言えん筈やけど。」
それでも弁護した私も私なんやけどね。
『ママに言わレタ。日本の授業難しいカラ、
センセのvoix、声録ってお家で勉強する時に使いなサイッテ。』
辿々しいながらも、何とか伝えてくれるリナ。
所々ジェスチャーを織り交ぜながら話す彼女を見て、
私は自分の中で彼女の言いたい事を咀嚼した。
稲野ちゃんがこんな風に言う。
稲「それだけだったら、わざわざ机に置かなくても良いじゃん。
録音したまま、机の中にでも入れとけば良かったのに。」
『Non,non!音、聞こえナイ!』
稲「まあ、確かに多少は篭もるかも知れないけどさ、
全く聞こえないよりはマシだと思うぞ。
それに、その機種は音質良いから
机の中でもクリアに聞こえるんじゃねえか?」
稲野ちゃんが解決策を提案するものの、
リナはどうにも腑に落ちんみたいや。
あ「…分かった。
目に見える所に置いてな不安なんやろ?
ちゃんと録音出来てるかって。」
『Oui.』
彼女は大きく頷きながら肯定の返事を返してくる。
それを見て、稲野ちゃんも納得した様だ。
稲「そういう事ね。でも、次からはちゃんと
見えねえ所に置いといた方が良いよ。
鞄なり机の中なりね。」
そうしねえとまた取られちゃうでしょ?と彼は続けた。
言葉は冷たく聞こえても、ちゃんとリナの事考えてるんやね。
私も何か言おうかと頭の中で言葉を探していると、分かれ道が来た。

稲野ちゃんが離脱し、またもや私とリナの二人きり。
結局言葉が見付からず、黙ったまま歩く。
途端、彼女がまた手を握ってきた。
…幾ら何でもフレンドリー過ぎるやろ。
にしても。
あ「リナの手、冷たかね。」
『アルトの手はdouxネ!』
あ「ドゥー?」
『Doux!暖カイ!』
あ「…ありがと。知っとった?
日本では昔から、手が冷たい人は心が暖かいって言うんよ。
やけん、リナは暖かくて優しい娘なんやね。」
そう言うと、彼女は握っている手に力を込めた。

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螢羅(K-Ra)(プロフ) - 緑月翡翠さん» いつもありがとうございます!フランス語を取り入れるのは初めてだったのですが、書いていたら楽しくて楽しくて…!毎日更新、出来れば良いんですけどねえ…。貴重なご意見ありがとうございます! (2017年4月20日 7時) (レス) id: 575549c323 (このIDを非表示/違反報告)
緑月翡翠(プロフ) - 完結おめでとうございます!フランスや花言葉は私も大好きで、とても良かったです…!読者としては毎日更新が嬉しいのですが、ご多忙なようなので時間があれば、という形がいいと思います。次作も楽しみにしています!長文失礼しましたm(__)m (2017年4月20日 6時) (携帯から) (レス) id: b835eb55b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年3月3日 20時

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