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四十四輪 ページ45

無意識に、腕に力が篭もる。
あ「返事、聞かしてや。」
私が一緒におったら、一番近くでリナの事を守ってやれる。
そんな意味を込めて、一言付け足す。
『…ワタシと一緒だと、アルトまで苛められるヨ?』
あ「アンタが苛められるより良か。
それに、私はアンタに頼って欲しい。
リナが辛い時に、私に全部言って欲しい。
それが、どんなに小さい事でも。
私は、その覚悟が出来とる。」
私まで苛められるとか、何を今更。
何が起ころうと、例え天変地異が起ころうと
私は彼女を守る。
今までみたいな友達としてやなく、恋人として。
彼女の、答えは。
『……。』
彼女は黙って、私の首筋に左手でそっと触れた。
風よりも擽ったい感触が、そこに広がる。
『…アルト、お返事言いタイ。こっち、向いテ?』
あ「今は無理や。恥ずかしいけん。」
『むー、しょーがナイ。』
そう言うと、彼女は私の首筋から手を離して体の向きを変えた。
私の胸板に彼女の左肩が触れとる形。
『これなら、お顔見れるネ!
…フフ、アルトお顔赤イー!』
あ「もう、やけん見しとうなかったんや。」
『アルト。』
あ「何や。」
『ずっと、一緒。だから、良いヨ。』
あ「…!あ、ありがと…。」
『フフ、アルトとワタシ、amoureuxだネ!』
あ「アムルー?アムールやないん?」
『Amourは<愛>って意味。ワタシが言ったのハ…。』
彼女が軽く背伸びをすると、私の耳元に息が届いた。
そのまま小声で囁いてくる。
『<恋人同士>だヨ。』
その声が、あまりにも甘く聞こえて。
一度離しとった腕を、もう一度リナの体に回した。

どれ位、そうしとったやろか。
まだチャイムも鳴っとらん。
その状態のまま、私らはそれぞれの口を開く。
あ「リナの髪、さらさらしとるね。」
滑らかな触り心地と艶めきが、
まだ何も手を加えとらん事を強調しとる。
『Oui.昨日シャンプー変えたノ。』
あ「ああ、それでか。匂いも昨日と違うばい。」
『アルトはこの匂い、好キ?』
あ「そうやね。好きかも知れん。」
『じゃあワタシ、ずっとこのシャンプー使ウ!』
ああもう、ばりむぞらしか。
『ねぇアルト、baiserしテ?』
あ「さっきしたのに?」
『もう一回、したくなったノ!』
あ「…良かよ。しよか。」
抱く力を緩め、片手でリナの頬に手を添える。
互いに赤らんだ顔を近付け、そのまま口付けた。
次第に深くなり、舌や唾液が絡み合う。
本当の意味でのフレンチキスを、私とリナで感じ合った。
せめて、チャイムが鳴るまではこうさしてや。

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螢羅(K-Ra)(プロフ) - 緑月翡翠さん» いつもありがとうございます!フランス語を取り入れるのは初めてだったのですが、書いていたら楽しくて楽しくて…!毎日更新、出来れば良いんですけどねえ…。貴重なご意見ありがとうございます! (2017年4月20日 7時) (レス) id: 575549c323 (このIDを非表示/違反報告)
緑月翡翠(プロフ) - 完結おめでとうございます!フランスや花言葉は私も大好きで、とても良かったです…!読者としては毎日更新が嬉しいのですが、ご多忙なようなので時間があれば、という形がいいと思います。次作も楽しみにしています!長文失礼しましたm(__)m (2017年4月20日 6時) (携帯から) (レス) id: b835eb55b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年3月3日 20時

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