[A.L.T.O]Rosary Kiss[学パロ/実.況.者]

四輪 ページ5

その言葉の後、彼女は目をぱちくりとさせた。
『…良イノ？』
あ「うん。別に時間ぐらい幾らでもある。
ゆっくりでも良いけん。
やけん、私らと友達になってくれん？」
自分でも気持ち悪い程の優しい声を出してそう言ってみる。
隣で稲野ちゃんが笑いを殺しているのを気にしない様にしながら。
『……ウン！友達ナル！』
良かった。これでダメなら恥ずかしくて仕方が無かった所だ。
あ「じゃあ、改めて自己紹介な。
私はALTO。で？」
稲「俺は稲野。宜しくね。」
私が振ると、彼はふうと一息吐いて自分の名前を名乗った。
『アルト…、イナノ…？
ワタシ、リナ！宜シク！』
ほんわかした気分になったと思ったら、
稲野ちゃんがこんな事を言ってきた。
稲「折角友達になったんだからさ、
これ食ったらゲームしない？」
あ「親善試合ってやつ？」
稲「お、良いなその言い方。サッカーみたい。」
あ「いや、そこは野球やろ！」
幾ら稲野ちゃんでも、ここは譲れんばい。

昼休み前に何とかご飯を食べ終えた後、
私は自分の空の弁当箱を鞄に仕舞いに行った。
その間に稲野ちゃんがゲームのセッティングをしてくれる事に。
鈴原さんはその様子を、わくわくとした表情で見ていた。
戻ってきて椅子に座り、置かれた手札を見る。
そう言えば、何のゲームやるんやろ？
稲「鈴原さん、今からやるゲームは大富豪って言うの。
えーっと…。説明難しいな。」
いきなり大富豪やらすんか。ローカルルールとか分かるんかな。
取り敢えず、助太刀してあげよう。
待ったを掛けて、鞄から電子辞書を取り出して戻ってくる。
電源を入れて文字を打ち込み、
フランス語に変えて彼女に見せてみる。
あ「trou-de-cul。フランスではこう言うみたいやね。
意味は大貧民。大富豪としては載ってなかったけん、大貧民で調べた。」
鈴原さんは基本ルールが事細かに書かれた
電子辞書を眺めながら、何度も大きく頷いた。
ある程度のルールを理解してくれた所で、
やっと親善試合が幕を開けた。

数分後。私が一抜けし、
稲野ちゃんと鈴原さんの一騎討ちに路線が変わる。
彼女は残りの手札をじっと見て、思案に暮れていた。
見兼ねた私は、彼女の後ろにそっと周り
手札を見させて貰った。
七が二枚にキングが三枚、エースと二が一枚ずつか。
稲野ちゃんがもし八を持っていたら、
残り枚数的に八切りからの彼のターンで
鈴原さんの負けが決まってしまう。
ここはエースを出して、賭けに出てみるか…？
って、私のターンやないのに。

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