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三十七輪 ページ38

部屋に入って鞄を適当な所に置き、
リナへのプレゼント…百合の花を手に取る。
ふと閃き、ある物もその中に仕込んで。
どんな顔するやろか。今から楽しみや。

階段を降り、リナの前に駆け寄る。
あ「お待たせ。これ、前の水泳大会のお礼。」
『…lis blanc!
アリガト!ワタシ、このお花大好キ!』
あ「お礼言いたいんは私の方や。
リナが来てくれんかったら、大変な事になっとったけん。
改めて言わしてや。リナ、ありがとう。」
『Hehe.どう…いたし、まシテ!』
未だに辿々しい日本語でそう返してくれる彼女が、どこか愛おしくて。
『良い匂イ…。アレ?』
花を抱いて匂いを嗅ぐ彼女が、何かに気付いた様や。
『コレ…!』
あ「お、気付いたん?
さっき稲野ちゃんらと人狼やっとった時に
物欲しそうな顔でそのカード見とったやろ?
私も持っとったけん、リナにあげる。」
『…!』
そう。私が百合の花に仕込んだのは、
今朝稲野ちゃんにあげて昼に五人で人狼カードゲームをした時に
彼のデッキに入っとったキューピッドのカード。
自分用に買った物から一枚抜き取って、花の中に隠した物や。
どうせもうやらんやろうし、やるとなっても予備で後一枚残っとる。
彼の物と同じデザインやけん、文句は言わんやろ。
でも、彼女の反応は私の予想とは大きくかけ離れたものやった。
何故か、顔が真っ赤に染まっとる。
その途端、彼女が私を強く抱き締めてきた。
あ「…そんな、嬉しかったん?」
『…アルト。』
あ「何?」
『今、アルトの顔、見たくナイ…。』
あ「花、嫌やった?」
『違ウ。嬉シイ。でも…。
キューピッドの方が、もっと嬉シイ。』
あ「…。」
私の胸に顔を埋めたまま、離れようとしないリナ。
それどころか。
『アルト…。Je t'aime.』
ジュテームって、まさか…。
あ「…リナは、私の事そう思ってくれとったん?」
『Oui.ワタシ、アルトを友達って見れナイ。
ワタシ、変になっちゃったノ…?』
あ「…リナがそう思うんやったら、そうなんやない?
さっきから私も、心臓がバクバク言っとるんよ。
普通お礼だけやったら、こんなにバクバク言わんやろ?」
『ホントだ。アルトもバクバクしてル…。』
ぎこちないながらも、彼女の背中に両腕を回す。
いつ親が帰ってくるか分からんと言う背徳感が、私の心を支配した。
リナはどうなんやろ。
今の私と同じ様に、ドキドキしとるんやろか。
あ「…そろそろ、帰りや。送るけん。」
『…Oui.』
動く気配の無い彼女を、私は優しく諭した。

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螢羅(K-Ra)(プロフ) - 緑月翡翠さん» いつもありがとうございます!フランス語を取り入れるのは初めてだったのですが、書いていたら楽しくて楽しくて…!毎日更新、出来れば良いんですけどねえ…。貴重なご意見ありがとうございます! (2017年4月20日 7時) (レス) id: 575549c323 (このIDを非表示/違反報告)
緑月翡翠(プロフ) - 完結おめでとうございます!フランスや花言葉は私も大好きで、とても良かったです…!読者としては毎日更新が嬉しいのですが、ご多忙なようなので時間があれば、という形がいいと思います。次作も楽しみにしています!長文失礼しましたm(__)m (2017年4月20日 6時) (携帯から) (レス) id: b835eb55b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年3月3日 20時

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