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三十三輪 ページ34

ホームルームの間に、計画表と言う名のメモを書き、
折り畳んでこっそりとポケットに入れる。
逸る気持ちを抑えながら、私は残りのホームルームを過ごした。

時間が流れ、昼休み。
『アルト!買い物行コ!』
あ「…私弁当持ってきとるよ?」
『ワタシが買うノ!良いでショ?』
ああ、付き添いでって事か。
でも、いつもは最初の休み時間に
パンとジュースを買いに行ってるのに、何で今買いに行くんやろか。
毎日行ってる程の子が、今日に限って忘れるなんてまず無いやろう。
あ「…良かよ。」
『ヤッター!行こイコ!』
稲「待って。」
私が弁当をリナの机の上に置き、
リナが財布を取り出そうとした所で稲野ちゃんが言葉を挟んだ。
彼女が首を傾げ、稲野ちゃんの方を向く。
稲「その…、俺も行く。」
彼女は何故か考えたふりをして、やがて頷いた。
『Oui!イナノも一緒に行こうネ!』

財布片手に、楽しそうに歩くリナ。
財布を持ってない方の手は、私の手と繋がれている。
稲野ちゃんは彼女と手は繋いでいないにしろ、
その隣で前を向いて歩いている。
あ「何買うか決めてるん?」
『Non.決めてないヨ。
向こうで見て決めるノ!』
あ「でも、この時間は混むけん、悩んどる時間はあんま無いと思うよ。」
『むー、分かッタ。急いで決めル。』
話している内に購買に着く。
やはりそこは、多数の生徒でごった返していた。
『じゃあ行ってくるネ!二人はそこで待ってテ!』
あ「うん、待っとるよ。」
稲野ちゃんも黙って頷き、リナを見送った。
稲「…ALTO君。」
あ「何?」
リナが人混みに消えたタイミングで、稲野ちゃんが話し掛けてくる。
稲「ALTO君ってさ、リナの事どう思ってんの?」
あ「どうって、普通に仲良い友達やと思っとるよ。」
答えるとすぐに次の質問が。
稲「そう。じゃあ、俺の事は?」
あ「どうしたんよ、急に。」
稲「知らね。でも、聞いとかなきゃって思ったの。」
あ「……私の一番大事な、親友や。」
慎重に言葉を選び、素直に伝える。
稲「…ありがと。ごめんね、急にこんな事聞いて。気持ち悪いよね。」
あ「そんな事無かよ。友達を大事に思うんは当たり前の事や。
でも、何でこんな事聞いたんよ?」
稲「…笑わないでね。」
あ「うん。何?」
稲「リナとALTO君が仲良くするの、何か嫌だったの。
リナにALTO君が取られるんじゃないかって、思って。
それに、二人で喋ってる所見てたら
仲間外れにされたみたいに感じてさ。」
何や。稲野ちゃんも同じ事思っとったんか。

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螢羅(K-Ra)(プロフ) - 緑月翡翠さん» いつもありがとうございます!フランス語を取り入れるのは初めてだったのですが、書いていたら楽しくて楽しくて…!毎日更新、出来れば良いんですけどねえ…。貴重なご意見ありがとうございます! (2017年4月20日 7時) (レス) id: 575549c323 (このIDを非表示/違反報告)
緑月翡翠(プロフ) - 完結おめでとうございます!フランスや花言葉は私も大好きで、とても良かったです…!読者としては毎日更新が嬉しいのですが、ご多忙なようなので時間があれば、という形がいいと思います。次作も楽しみにしています!長文失礼しましたm(__)m (2017年4月20日 6時) (携帯から) (レス) id: b835eb55b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年3月3日 20時

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