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二十四輪 ページ25

『…アルト、手、痛イ。』
あ「…あ、ごめん。」
知らない内に、強く握ってしまっていた様だ。
意識を逸らす為、半ば強引に話題を変える。
あ「最近リナ、日本語上手なったよな。」
『そうカナ?』
あ「私は上手なったと思うばい。
単語単語やなくなったし、言葉も詰まってこなくなったし。」
『ツマラナイ?』
あ「ああ、そう言う意味やないんよ。
<面白くない>って方やなくて、<すらすら言える様になった>って事。」
本当、日本語って難しいばい。
『Hehe.アルトに褒めらレタ!嬉シイ!』
痛た、アンタも強う握っとるよ。
でもあまりにも嬉しそうな彼女を見ていると、
そうツッコむ気も無くなっていくのを感じた。
ハーフっていうのも勿論あるとは思うんやけど、
やっぱり他の女子と何かが違う様な。そんな雰囲気を彼女から感じる。
やがて、彼女の家の前に着く。
あ「じゃあ、また明日。」
『Oui!Bye bye!』
いつも通りの明るいリナと言葉を交わし、踵を返す。
途端、後ろから暖かい衝撃が。
あ「…どうしたん。」
『寂シイ。』
こんな憂いを帯びた声、初めて聞いた。
あ「……。」
また明日も会えるやろとは、今の彼女には言えなかった。
私は夕日に照らされ赤くなったまま、
首元に回されたリナの右手の上に自分の手を重ねた。

そんな次の日。
中身が殆ど入っていない鞄を机に置き、二人の元に向かう。
何か、一連の流れが形式化してきたな。
稲「おはよ。」
『オハヨー!』
あ「…おはよう。」
稲「どうしたの。元気無いね。」
あ「…何でも無かよ。」
昨日は全然寝れんかった。
連日の蒸し暑さだけでは勿論無いやろう。
『ワタシ達、もう泳がないノ?』
稲「負けちゃったからねえ。
まあ、うばまろ達に託そうぜ。ね、ALTO君。」
あ「…そう、やね。」
稲「本当にどうしたの。プール熱でも出た?」
『アルト熱あるノ!?』
顔を近付けてきたリナから、ほんの少し距離を取る。
あ「本当に何でも無か。」
『気にナル!ワタシ、アルトが心配!』
稲「顔赤くなってるしね。大事を取って休んだ方が良くないか?
決勝戦は俺一人で見てるから、リナに看病して貰いなよ。」
稲野ちゃん、分かって言っとるやろ。
顔笑っとるもん。
あ「気にせんで良か!何でも無いけん!」
稲「どうだか。ALTO君は無理する所あるからねえ。」
あ「せからしか!」
ああもう、キリが無かね。

教室に入ってきた先生の指示で、クラスメイト全員が廊下に出る。
揃った所で、先生引率でプールに向かって歩き出した。

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螢羅(K-Ra)(プロフ) - 緑月翡翠さん» いつもありがとうございます!フランス語を取り入れるのは初めてだったのですが、書いていたら楽しくて楽しくて…!毎日更新、出来れば良いんですけどねえ…。貴重なご意見ありがとうございます! (2017年4月20日 7時) (レス) id: 575549c323 (このIDを非表示/違反報告)
緑月翡翠(プロフ) - 完結おめでとうございます!フランスや花言葉は私も大好きで、とても良かったです…!読者としては毎日更新が嬉しいのですが、ご多忙なようなので時間があれば、という形がいいと思います。次作も楽しみにしています!長文失礼しましたm(__)m (2017年4月20日 6時) (携帯から) (レス) id: b835eb55b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年3月3日 20時

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