[う.ば.ま.ろ]せめて、ただ愛させてよ。[学パロ/実.況.者]

五つ…。 ページ6

放課後の生徒会室。
会議が終わり、皆が帰る時間。
…の、筈なのだが。
テ「一日目は、テラゾーさんが
無残な死体となって発見されま…。」
ぽ「やったー。」
「やったー！」
テ「おい！
るかちゃんも一緒になって喜ばない！」
近くの幼稚園から遊びに来たるかちゃんや
うちの顧問のやんわり先生も含めたメンバー全員で
ワンナイト人狼をやっていた。
ゲームマスターのテラゾーさんに対して、
この中では彼とは古い仲である筈の
ぽず君が柔らかい声と口調でボケる。
合わせてるかちゃんも、それに乗っかる。
それを見ながら、ゲームの内容はともかく
平和だなあ、なんてジジ臭い事を思う。
そんな最中。
コンコン。
ドアがノックされ、先生が開けに向かう。
開けた先には、先程喋ったあの先輩が。
部活帰りだろうか。ジャージを身に纏っている。

『失礼します！
これ、ピーチ棟の階段に落ちてたんですけど。』
そう言って、先生に見せてきたのは
やけに尻尾が長い黒猫のキャラクターのマスコット。
それには鍵が取り付けられている。
無くした人、暫く困るだろうな。
や「ああ、落とし物ね。どの辺に落ちてたか、
詳しく教えてくれる？」
『えーっと、一階から二階に繋がる
東側の階段です。踊り場だったかな？』
や「成る程…。」
篠宮さんの噛み砕かれた説明を、先生がメモしていく。
咄嗟にちゃんと説明出来る先輩を、改めて凄いと感じた。
や「ありがとう。この鍵は責任を持って預かります。」
『宜しくお願いします！
きっと、落とした人も困ってると思うんで。
じゃ、さよならっ！』
あ、考えがシンクロした。
や「気を付けて帰ってねー。
…俺の声、聞こえてたかな？」
あ「物凄い速さで走って行きましたね。」
ぽ「テラゾー、あの人っていつもあんな感じなの？」
テ「うん、あんな感じ。」
「…。」
風紀委員の彼女が、何故か浮かない顔をしていた。
元々表情は分かり辛いけど、少なくとも俺にはそう見えた。
う「どうしたの？」
「…身長高くて羨ましいなんて、思ってなどいません。」
あ、思ってんだ。
確かに篠宮さんは、俺から見ても背が高い。
百七十cmは余裕で超えてるんじゃねえかって位。
俺が低いだけ？ほっとけ。
う「身長が低いのだって、ステータスだって思うよ。
皆が皆一緒だったら個性も何も無いし、
何より怖いじゃん。」
「そうですか。」
＜みんなちがって、みんないい。＞なんて、
昔の人は表現してたっけな。
それに、自分より小さいと
喋る時に上目遣いして貰えるし。

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