[う.ば.ま.ろ]せめて、ただ愛させてよ。[学パロ/実.況.者]

落としたそれは…。 ページ48

と「とは言え、こんなに上手くいくとは
思わなかったですよね、会長さん！」
テ「そうだね。やってるこっちも楽しかったよ。」
『何でテラゾーまで加担してたんだよ！？』
テ「俺はこういう演出は大歓迎だよ。
だって楽しいもん。」
本当にこの人は、楽しい事好きなんだから。
『雪を降らす必要性はあったのか！？』
珍しくゆかりさんがまともなツッコミをかましてくれる。
俺の仕事が減って大助かりだ。
は「雪を降らすっていう考えは、
かわぞえさんが出して下さいました。ね？」
か「そうそう！ええ雰囲気が演出出来てて
中々良かったじゃろ？」
ドヤ顔で話すかわぞえさんを、今全力ではたいてやりたい。
そう言えば二人がこっちに来てから、
雪のパチモンが降らなくなったな。
テ「ネタばらしも済んだ事だし、
そろそろ俺達は消えようか。
俺は生徒会の仕事があるから体育館に戻るけど、
皆も来る？見学も出来るし。」
と「さんせーい！行きましょ行きましょ！」
愛「俺もー！」
か「愛ゴリが行くならかわぞえさんもー！」
は「俺も行きます。カスターはどうする？」
カ「俺もご一緒するよ。テラゾーさんが踊ってる所見たいし。」
そうして、俺とゆかりさんの目の前からは誰もいなくなった。

『何か、急に静かになったな。』
う「そう、ですね…。」
唖然、からの脱力。
ふらりと俺の体が大きく揺れた。
『おっと！大丈夫か？そこに座ろうぜ。』
う「はい…。」
椅子を近くの机から拝借し、未だに火を
灯し続けているストーブの前に腰掛ける。
その隣に彼女が続く。
俺は何も考えず、ゆかりさんに凭れ掛かった。
彼女はそんな俺の体を、しっかりと抱き寄せてくれる。
…普通逆じゃね？でも。
う「別に、これでも良いや。」
『良くねえよ。あたしが男みてえじゃん。』
う「じゃあ次はゆかりさんが凭れますか？」
『…それもやだ。だって受け止めてくんねえし。』
う「俺どんだけひ弱なんですか。
ちゃんと受け止めますから。やってみましょうよ。」
『…一回だけ、な。』
そう言って、今度はゆかりさんが凭れ掛かってくる。
頬に掛かる息遣いが、俺の胸の鼓動を弾けさせた。
今なら、言えるかな。
う「ゆかりさん。」
『何。』
う「…俺と、付き合って下さい。」
『この状況で、断れるかよ。
あたしで良いなら、
よっ…、宜しく、お願いします…。』
冬の澄んだ空気を、決してストーブだけでは
作り出せない熱気が押し寄せ、掻き消していく。
微かに漏らした好きの一言が、
目の前の熱気に溶けていった。

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